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楽しかった12年
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僕は、オル達を見た。
そして、考察厨さん達の考えを伝えた。
方角のこと、その異世界での別称のこと。
全てを話した。
「勇者のテイムしたモンスター?
それが、方角に当てはめられる??
モンスターだけじゃなく、剣聖達も?」
オルが聞き返してきた。
「はい。
勇者には、剣聖を含めた仲間ができる前に、すでに仲間がいました。
それが、勇者が生家にいた頃に、もっといえば幼少時代、仲間にしたモンスター達です。
そう、魔王退治の旅に出る前。
この国にいた時に勇者は、モンスターを仲間にした。
ここから、考察厨さん、異世界の人が導き出した答えは、聖杯はこの王国内にある、というものでした」
ごくり、と三人が喉を鳴らした。
僕は、アンジュのところで書き込んでいた地図を広げてみせた。
「これは、考察厨さん達の考えを受けて僕が書き込んだ、第二の謎に関係する場所の候補地です。
でも、決定打に欠けています。
精査しようとしたところに」
僕は三人を見た。
「魔族が襲撃してきた、と大騒ぎになったんです」
僕の言葉に、ミカリが苦笑した。
「皮肉?」
僕は首を振る。
「いいえ、未だ謎が解けていないという説明です」
僕はさらに鞄から、小説と回顧録を取り出した。
それを並べて、開く。
回顧録を見て、三人が顔色を変えた。
「これ、勇者の日記?」
「どうしたんだ、これ?」
「お前、これが読めるのか?」
順に、ミカリ、ウェイチ、オルである。
僕は、アンジュにしたのと同じ説明を三人にした。
そういえば、考察厨さんたちとのやり取りは全て文字でのやり取りだったことは言ってなかったな。
「ギフトを得ると与えられるなんて知らなかったな」
オルは、呆れている。
ほかの三人もだ。
「ギフトを与えられる条件って、なんなんだ?」
ウェイチが聞いてきた。
僕は、正直に話した。
「記念館、もしくはそれに類する施設に千回通う?」
声には、やはり呆れた色があった。
続いてオルが、
「お前、どんだけ記念館に通ったんだ。
毎日通ったとして三年近くかかるだろ」
なんて聞いて来たので、
「んー、物心着いてからずっと、本当に毎日、一日も欠かさず通いましたよ」
記念館には、図書館等と違って基本休館日というものがない。
子供の頃はなんとも思わなかったけれど、今にして思えば変だ。
一部例外は、ある。
でも、記念館はその例外から外れる施設のはずだ。
それにも関わらず、記念館はずっと開館していた。
あの頃は、居場所がなく、行き場所もなかったから、本当に毎日通ったし、休息日にはずっと入り浸っていた。
「ざっと、十二年ですかね」
三歳の頃、初めて記念館に行った。
あの頃は、父さんがいたから。
父さんも、勇者伝説が好きだったし、館長さんとも仲が良かった。
恋人とか、そういった間柄かなとも思ったけど違った。
館長さんに聞いたことがあるのだ。
『父さんと、結婚しないの?』
館長さんは、笑って答えてくれた。
『お友達だから、結婚はしないのよ』
と。
そんなことをぼんやり思い出していると、三人はまたマジマジと僕を見てくる。
「十二年って、正気か?」
「えぇ。面白かったですから」
オルが信じられない、と言った。
そりゃ、十二年間、一日も欠かさず毎日記念館に通ったというのはちょっとした記録だろう。
「好きなんですよ。
勇者について調べるの」
そう言うと、今度はミカリが、
「君にそのギフトが与えられたのは必然だったのかもね」
なんて呟いた。
続いてウェイチが、
「好きこそなんとやらってやつだろ。
つーか、勇者オタクだな!」
そう言って、ガハガハ笑った。
話が逸れてしまった。
僕は地図に視線を落として、印をつけたところを見た。
そして、回顧録と小説を見ながら候補を絞っていく作業に戻った。
少しして、オルがまた質問してきた。
「ところで、なんで小説も出してるんだ?
勇者の話ではあるが、内容は作り物だろ?」
「あれ?
知りません?」
僕は、この小説やほかの小説について軽く説明した。
どんどん、三人がドン引いていくのがわかった。
「待て待て待て、なに、お前、勇者関連の小説全部読んでるのか?!」
さすがにそれは無いよな、とオルが聞いて来たので、
「記念館と図書館の蔵書はほぼ制覇しましたよ」
そう言ったら、絶句した。
ミカリとウェイチも、絶句している。
「ね、ねぇ、もしかして、なんだけど」
今度はミカリが恐る恐るというふうに、聞いて来た。
「今まで読んだ資料や小説の内容、それぞれの作品の微妙な違い、全部頭に入ってたりする??」
「しますよ」
思い出そうとおもえば、いつだって思い出せる程度には読みまくった。
全部おもしろかった。
「そ、そうだよね、さすがに、そんなことっ、て……。
え、ええええ?!?!」
僕の答えに、ミカリが信じられないとばかりに声をあげた。
「?」
僕は、候補地をさがす手を止めて、彼女を見た。
「なんです?」
「いや、だって、記憶力がいいにも程があるでしょ」
「???」
僕は意味が分からず、首を傾げた。
「別に普通ですよ。
呪文詠唱だって、暗唱するのが普通だし。
魔法陣の細部まで覚えるのと大差ないですよ。
まぁ、僕は魔法が苦手なので実技は最下位でしたけど」
と、ここでオルが、
「嵐の中を進み、黒い雨にうたれ――続きはわかるか?」
なんて唐突に出題してきた。
これは、勇者が旅の途中強敵に倒れた剣聖へむかって投げた言葉だ。
勇者の旅は連戦連勝だったとされているが、違う。
何回か負けているのだ。
しかし、それは不都合な真実で、消されたとされる歴史の一つだ。
そして、もちろん僕はこの言葉の続きを知っていた。
「地に倒れてもなお立ち上がるなら、きっと勝利の光が見えるはずだ」
僕がスラスラと言うと、オルは、
「本物だ、本物の勇者オタクだ」
そう言ったのだった。
程なくして、僕は候補地をしぼる事が出来た。
もちろん、考察厨さん達へ確認もした。
少なくとも、最初の候補地は合ってるはずだ。
そして、考察厨さん達の考えを伝えた。
方角のこと、その異世界での別称のこと。
全てを話した。
「勇者のテイムしたモンスター?
それが、方角に当てはめられる??
モンスターだけじゃなく、剣聖達も?」
オルが聞き返してきた。
「はい。
勇者には、剣聖を含めた仲間ができる前に、すでに仲間がいました。
それが、勇者が生家にいた頃に、もっといえば幼少時代、仲間にしたモンスター達です。
そう、魔王退治の旅に出る前。
この国にいた時に勇者は、モンスターを仲間にした。
ここから、考察厨さん、異世界の人が導き出した答えは、聖杯はこの王国内にある、というものでした」
ごくり、と三人が喉を鳴らした。
僕は、アンジュのところで書き込んでいた地図を広げてみせた。
「これは、考察厨さん達の考えを受けて僕が書き込んだ、第二の謎に関係する場所の候補地です。
でも、決定打に欠けています。
精査しようとしたところに」
僕は三人を見た。
「魔族が襲撃してきた、と大騒ぎになったんです」
僕の言葉に、ミカリが苦笑した。
「皮肉?」
僕は首を振る。
「いいえ、未だ謎が解けていないという説明です」
僕はさらに鞄から、小説と回顧録を取り出した。
それを並べて、開く。
回顧録を見て、三人が顔色を変えた。
「これ、勇者の日記?」
「どうしたんだ、これ?」
「お前、これが読めるのか?」
順に、ミカリ、ウェイチ、オルである。
僕は、アンジュにしたのと同じ説明を三人にした。
そういえば、考察厨さんたちとのやり取りは全て文字でのやり取りだったことは言ってなかったな。
「ギフトを得ると与えられるなんて知らなかったな」
オルは、呆れている。
ほかの三人もだ。
「ギフトを与えられる条件って、なんなんだ?」
ウェイチが聞いてきた。
僕は、正直に話した。
「記念館、もしくはそれに類する施設に千回通う?」
声には、やはり呆れた色があった。
続いてオルが、
「お前、どんだけ記念館に通ったんだ。
毎日通ったとして三年近くかかるだろ」
なんて聞いて来たので、
「んー、物心着いてからずっと、本当に毎日、一日も欠かさず通いましたよ」
記念館には、図書館等と違って基本休館日というものがない。
子供の頃はなんとも思わなかったけれど、今にして思えば変だ。
一部例外は、ある。
でも、記念館はその例外から外れる施設のはずだ。
それにも関わらず、記念館はずっと開館していた。
あの頃は、居場所がなく、行き場所もなかったから、本当に毎日通ったし、休息日にはずっと入り浸っていた。
「ざっと、十二年ですかね」
三歳の頃、初めて記念館に行った。
あの頃は、父さんがいたから。
父さんも、勇者伝説が好きだったし、館長さんとも仲が良かった。
恋人とか、そういった間柄かなとも思ったけど違った。
館長さんに聞いたことがあるのだ。
『父さんと、結婚しないの?』
館長さんは、笑って答えてくれた。
『お友達だから、結婚はしないのよ』
と。
そんなことをぼんやり思い出していると、三人はまたマジマジと僕を見てくる。
「十二年って、正気か?」
「えぇ。面白かったですから」
オルが信じられない、と言った。
そりゃ、十二年間、一日も欠かさず毎日記念館に通ったというのはちょっとした記録だろう。
「好きなんですよ。
勇者について調べるの」
そう言うと、今度はミカリが、
「君にそのギフトが与えられたのは必然だったのかもね」
なんて呟いた。
続いてウェイチが、
「好きこそなんとやらってやつだろ。
つーか、勇者オタクだな!」
そう言って、ガハガハ笑った。
話が逸れてしまった。
僕は地図に視線を落として、印をつけたところを見た。
そして、回顧録と小説を見ながら候補を絞っていく作業に戻った。
少しして、オルがまた質問してきた。
「ところで、なんで小説も出してるんだ?
勇者の話ではあるが、内容は作り物だろ?」
「あれ?
知りません?」
僕は、この小説やほかの小説について軽く説明した。
どんどん、三人がドン引いていくのがわかった。
「待て待て待て、なに、お前、勇者関連の小説全部読んでるのか?!」
さすがにそれは無いよな、とオルが聞いて来たので、
「記念館と図書館の蔵書はほぼ制覇しましたよ」
そう言ったら、絶句した。
ミカリとウェイチも、絶句している。
「ね、ねぇ、もしかして、なんだけど」
今度はミカリが恐る恐るというふうに、聞いて来た。
「今まで読んだ資料や小説の内容、それぞれの作品の微妙な違い、全部頭に入ってたりする??」
「しますよ」
思い出そうとおもえば、いつだって思い出せる程度には読みまくった。
全部おもしろかった。
「そ、そうだよね、さすがに、そんなことっ、て……。
え、ええええ?!?!」
僕の答えに、ミカリが信じられないとばかりに声をあげた。
「?」
僕は、候補地をさがす手を止めて、彼女を見た。
「なんです?」
「いや、だって、記憶力がいいにも程があるでしょ」
「???」
僕は意味が分からず、首を傾げた。
「別に普通ですよ。
呪文詠唱だって、暗唱するのが普通だし。
魔法陣の細部まで覚えるのと大差ないですよ。
まぁ、僕は魔法が苦手なので実技は最下位でしたけど」
と、ここでオルが、
「嵐の中を進み、黒い雨にうたれ――続きはわかるか?」
なんて唐突に出題してきた。
これは、勇者が旅の途中強敵に倒れた剣聖へむかって投げた言葉だ。
勇者の旅は連戦連勝だったとされているが、違う。
何回か負けているのだ。
しかし、それは不都合な真実で、消されたとされる歴史の一つだ。
そして、もちろん僕はこの言葉の続きを知っていた。
「地に倒れてもなお立ち上がるなら、きっと勝利の光が見えるはずだ」
僕がスラスラと言うと、オルは、
「本物だ、本物の勇者オタクだ」
そう言ったのだった。
程なくして、僕は候補地をしぼる事が出来た。
もちろん、考察厨さん達へ確認もした。
少なくとも、最初の候補地は合ってるはずだ。
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