【なにか】助けてくれ【いる】

一樹

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ヌシラタミのお姫様

消去法だとそうなる

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 「みんな、死んだ」

 ライは言った。
 泣きながら、憎々しそうにリムを見ながら言った。

 「残ったのは俺たちだけだ。
 俺は、俺が殺人犯じゃないことを知ってる」

 「もちろんだ。お前は人殺しはしないし、できない」

 「なら、犯人はお前だ。お前しかいない。
 お前が、殺したんだ、リム。お前が」

 「一応、否定はしておく。俺でもない」

 「じゃあ、じゃあいったい誰が!」

 「俺も知りたい。でも、またダメだった。
 何かを見落としてるんだ。
 ここじゃ、どういうわけか力が制限されてる。
 つっても、お前はまた忘れるんだろうけどな。
 なぁ、ライ。お前はーー」

 リムが何か言うのを遮って、ライが、疑問をぶつける。

 「リム、お前はいったい、何者なんだ?
 リム、お前は、本当に俺の兄なのか?」

 「……自我の目覚め、という意味でなら俺の方が早かった。
 そういう意味でなら、俺はお前の兄だ」

 「何を、言って」

 「あの時の記憶を戻せば、きっとお前は俺のことを信じて、俺の存在を認めてくれるんだろうな。
 でも、今は出来ないし。出来たとしたら、お前は今以上に俺のことを憎む。
 
 ライ、どうせお前は俺のことを忘れるだろう。
 この会話も、無かったことになるんだろう。
 ライ、俺はお前のことが好きだ。
 だから、思い出して心を壊してほしくないんだよ。
 それは、お前の本当の兄達異世界の妖怪達の望みでもある」

 「はぐらかさないでくれ、リム。
 お願いだから、教えてくれ、お前は全て知ってるんだろ?
 お前が殺したんだ、皆を」

 「違う」

 「じゃあ、じゃあ、どう説明が着くんだよ!?」

 「それを、考えるのはいつもならお前の役目なんだけどな」

 と、そこでリムが顔色を変えて、ライを突き飛ばした。
 城の廊下は、それなりの幅がある。
 調度品だって置いてあった。
 その壁へライは突き飛ばされた、その直後、それを見た。
 兄の、リムの首が飛ぶ光景を見た。
 瞬間、世界がぐにゃりと歪んだ。
 
 その首が冷めた目で、自分を殺した者を見た。

 「お前は誰だ?」

 首が、床に着地するように落ちるとそんなことを言ったように見えた。
 
 相手は真っ黒なローブに、顔をすっぽりと覆う古臭いカラスのようなマスクをしていた。
 手には、死神が持つような鎌。
 その刃が閃いて、今度はライへと向けられた。

 ライの視界が、ズレる。
 ごろん、と音がして視界が床と同じになる。
 落ちていく意識、暗くなる視界。
 その、向こうで。

 「せめて、外と連絡が取れればなぁ」

 そんな間の抜けたリムの声が聞こえた気がした。

 
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