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プロローグ

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許さない。

許さない。

絶対に許さない。

私は、祭壇の遺影を見つめ、決意した。
遺影には、どんな存在より代え難い家族が映っている。
遺影の家族は笑っていた。
天真爛漫な笑顔が可愛い子だった。
聡明な子だった。
少し気が弱かったけれど、優しい子だった。
落ちこぼれで、他の優秀な家族から疎まれていた私の、希望だった。

この子がいたから、私は救われた。

この子がいてくれたから、どんなに失意の中に沈みそうになっても頑張って生きてこれた。

不思議と絶望しなかった。

私にとって、この子は、太陽だった。
ポカポカと冷えきってしまいそうだった私の心を、温めてくれた。

だから、絶対に私は許さない。

あの子に、死を選ばせた者達を許さない。
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