ほんわか騎士団首都日誌 ~無自覚美少年と筋肉幼馴染のすれ違いな日常~

kei

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雪嶺の村にて

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冬の冷たい風が吹きすさび始めた頃、二人は騎士団の任務で山間の村へ派遣された。
近隣で魔獣が活発化しており、食料や家畜を狙う被害が相次いでいるという。

白銀の雪に包まれた村に着くと、住民たちの不安げな視線が二人に向けられる。

「ここで俺たちが拠点を築く」
シェガランは簡潔に指示を出し、雪を払って火を起こす準備を始めた。
ルシェファンは村人たちを安心させるように笑顔を向ける。

「大丈夫。僕たちが村を守るよ」

その明るい声に、村の子供たちがほっと笑みを浮かべた。





任務二日目の夜。
村の外れから、不気味な唸り声と共に雪煙が立ち上った。

「来るぞ!」
シェガランは即座に剣を抜き、魔獣の群れへと駆け出した。
その背中を追うように、ルシェファンが魔力を放つ。

「シェガラン、剣に炎を!」
「応!」

ルシェファンの付与魔法が剣を赤々と燃え立たせ、シェガランは冷静に一体目の魔獣を斬り伏せる。
吹き荒れる吹雪の中、氷に覆われた地面を照らす炎剣の軌跡が鮮烈だった。

ルシェファンは他の兵士たちの武器にも次々と付与魔法を施し、同時に傷ついた者の応急処置を怠らない。
「傷は浅いよ、下がらなくて大丈夫!」
「ありがと!ルシェ!」

シェガランは群れの中心に切り込み、仲間を守る壁となる。
二人の呼吸は乱れることなく、まるで長年連れ添った双剣のように噛み合っていた。





夜明け。
雪原には倒れた魔獣の影が散らばり、村は無事守られた。

ルシェファンは村人に温かいスープを配りながら、安堵の息を吐く。
「よかったぁ……みんな無事で」

シェガランは剣を拭き取りつつ、その姿を横目で見る。
「お前がいるから、守りきれたんだ」
「え? いやいや、僕はただの補助だよ。戦ったのはシェガランだし」
「補助がなければ俺の剣は届かない」

ルシェファンは一瞬照れくさそうに笑った。
「……じゃあ、お互い様ってことで!」

二人はふと目を合わせ、雪解けのような笑みを浮かべる。
その光景を見ていた村人たちは、「まるで伝説の英雄と賢者だ」と噂し合った。




帰り道。凍てつく山道を歩きながら、ルシェファンがふと呟いた。
「ねぇ、シェガラン……。もし僕が戦えなくなったら、その時も隣に立ってくれる?」
「当たり前だ」
即答するシェガランに、ルシェファンは頬を赤らめて笑う。

「ありがと。僕もシェガランの隣を守るからね」

冬空の下、二人の歩みは確かな足跡を雪に刻んでいった。
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