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しおりを挟む「お帰りなさい」
帰ると、門に由樹がもたれて立っていた。
「何か用か?」
「紫苑に、会いたくなったからなんだけど。ダメ?」
別に、と紫苑は由樹の傍を抜けると、ドアの鍵を開けた。
そこへ、おずおずと波留が声を掛けてきた。
「あの。紫苑、この人は?」
「前に言ったろ、恋人できたって」
はわわわわ、と波留は由樹を見た。
「水島 由樹です。よろしく」
ミディアムのダークブラウンの髪に、ゆるくスパイラルパーマがかけてある。
その下には、100人中100人全員が納得する美貌が。
服装は白を基調にシックにまとめてあり、上質のカシミヤコートを羽織っている。
大人の色気を醸す由樹に、波留は完全に気圧された。
「紫苑、この人? 来夢の恋人の、波留くんって子」
「ああ、そうだよ」
二人の会話に、波留は我に返った。
「あ、あの。桜庭 波留です。よろしく」
「よろしく、波留くん」
いいから上がれよ、寒いだろ。
そんな紫苑の声に、二人はようやく敷居をまたいだ。
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