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しおりを挟む「んぅ、う。はぁ、はぁ、あぁ……。意地悪……」
「ようやく解ったかよ」
俺は、優しくなんかない。
意地悪なんだ。
紫苑は、自分で自分を貶めた。
それでも由樹は、かいがいしくウェットティッシュで紫苑の体を拭いてくれる。
達した解放感でぼんやりしていた紫苑だったが、掛けられた由樹の言葉に目を見開いた。
「紫苑、波留くんのこと好きでしょう」
「……!?」
「波留くんを悲しませたくないから、僕を恋人にした。違う?」
紫苑が解らないのは、そんな核心を突きながらも笑みを絶やさない、由樹の胸の内だった。
「何で、そんなこと言うんだよ」
「あ、やっぱり当たってた? 前に紫苑が来夢に殴られた時、ピンと来たんだよね」
「そんだけ解ってて、何で俺と付き合うんだ?」
「だって、楽しいんだもん」
由樹は、歌うように言った。
「自分の心に素直になれずに苦しんでる紫苑とか、見ててゾクゾクする。すっごくセクシーだよ」
それだけ言うと、由樹は紫苑の腕に頭を乗せた。
「波留くんが好きなことは、認めるよ。でも今の紫苑は、僕のものなんだからね」
「そうだな」
「そうだよ」
ふぅ、と由樹は大きく息を吐いた。
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