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1話 突然のサヨナラ
しおりを挟むセキュリティのためマンションに入れない波留は、寒い夜風に吹かれながら来夢を待っていた。
やがて、見慣れた自動車が駐車場に入り、ほどなくして来夢が現れた。
「来夢」
「何だ、波留。今夜は会えないって、言っただろ」
「あの、ね。どうしても顔が見たくなって」
「仕方ないな」
ロックを解除し、来夢と波留はマンションのエントランスへ入った。
「待ち合わせしてた人と、会えた?」
「ああ。一緒に、飯食ったよ」
嘘だ。
どうして。
どうして僕に嘘をつくの、来夢。
「お前は、どうしてたんだよ。飯、ちゃんと食ったのか?」
「うん……。紫苑のとこで、おでん食べた」
どうしよう。
どうしよう、言おうか。由樹さんのこと。
「どうする?」
「え!?」
「泊ってくか?」
いつもの、来夢だ。
このまま、いつものように抱いてもらえば、何も壊れない。
今までのまま、のはず。
だが、波留は一歩踏み出した。
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