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しおりを挟む青葉の図案を見て、店主はにっこり微笑んだ。
「ハロウィン、でしたね。もうすぐ。和菓子の店には、縁が無いと思っておりましたが」
「作ってくださいますか?」
「菓子職人と相談して、決めさせていただいてもいいでしょうか?」
「もちろんです!」
青葉は、もう自分の考えが形になったかのように喜んだが、店主はやや顔を引き締めた。
「特注となると、少し値が張りますが。しかも、23箱。失礼ですが、お支払いの方は……」
そこで青葉は、芳樹にもらった名刺を手渡した。
「申し遅れました。僕、いえ、わたくし、ナナウラホールディングスの本社で、秘書をしております」
名刺には、ちゃっかり『社長秘書』などと書いてある。
虎の威を借る狐には違いないが、青葉は芳樹の社会的地位を存分に利用する気満々だった。
「失礼いたしました。では、返答はこのアドレスに」
「はい。わたくしの携帯に繋がります」
これでよし、と青葉はうきうきと店を出た。
もちろん、おみやげのお菓子を買うことも忘れなかった。
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