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1 青葉の父

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 しかし、と芳樹は額に手を当てていた。
(青葉にそっくりで、年齢も同じ18歳。こんな偶然が、あるか?)
「芳樹さん、眠れないんですか? 何をお考えですか?」
「青葉、君に双子の兄弟がいたりするか?」
「え?」
 芳樹は、会食で引き合わされた帝都銀行の御曹司・怜の話を青葉に語った。
「世の中には、自分にそっくりな人間が三人はいる、というけれど。それにしても、似すぎだよ」
「双子、ですか」
 ただの偶然でしょう、という返事を待っていた芳樹だったが、青葉の言葉に身じろいだ。
「もしかしたら、いるかもしれません」
「何だって」
 すでに他界した、青葉の父。
 死の間際に、一通の封書と名刺を青葉に託したという。

『もし安藤家からお暇を出されて行く当てが無くなった時、これを名刺の人に渡しなさい』

「その時に知らされたんですが、僕は養子だったんです」
 青葉の眼が、少し潤んでいる。
 父の死を、辛い事実を思い出したのだろう。
「いいよ、青葉。もう話さなくても、いい」
 芳樹は、青葉を抱きよせた。
 優しい、なだめるようなキスをした。


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