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しおりを挟むすでに閉店したはずのフラワーショップに、まだ明かりが点いている。
最後の配達を済ませ、ワゴンを駐車場に停めた後に、駿佑は店内へ入った。
そこには、せっせと手を動かす聖の姿があった。
「また、居残りで練習か?」
「はい。駿佑さん、先にマンションに帰ってもいいですよ」
そうはいくか、と駿佑は椅子に掛けて、器用に働く聖の手元を眺めた。
ワイヤーとフローラテープ、リボン。
それから、白い胡蝶蘭。
これは、結婚式で新郎が胸に飾るコサージュ。
ウエディング・ブートニアの、出来上がりだ。
聖は特別な日のために、自分と駿佑を彩る花を、その手で作りたいと願ったのだ。
さらに月日は流れ、駿佑と聖は、挙式を10日後に控えていた。
式場は、思い出の植物園。
ガーデンパーティーを開き、ささやかなお祝いの席を設ける。
招待状は、全て出席にチェックが入って戻って来た。
元町老婆と、その息子家族に、フラワーショップのスタッフ。
聖の家族と、大島警部と、その家族。
招待客は少ないが、皆二人を温かく祝福してくれる、大切な人たちだった。
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