いくつもの涙の後に ～罰ゲーム！？ 好きな人の目の前で、好きでもない人に告っちゃいました！～

12

「な、キスしようぜ」
「ここで？　今？」
「みんな寝てるよ。バレっこないって」
「う、うん……」

　瞼を閉じた茉以の唇に、田宮が重なってきた。
　彼は茉以のリップを何度か柔らかく食み、咥内へ舌を入れてきた。
「！？　ん、んむッ！」
　軽い、素早いキスを想像していた茉以は、慌てた。
（誰かに、見られちゃうかもしれないのに！）
　しかし田宮はお構いなしに、茉以の舌を舐めたり吸ったり。
　勝手気ままに、蹂躙している。
「ん、ふぅ、う。ん、ッく」
　茉以は、田宮の動きに併せるだけで精一杯だった。

「はい、終わり。百瀬、キス下手だなぁ」
（田宮くんが、巧すぎるんじゃないのかな！？）
　はぁふぅと、火照った頬を冷やしていると、田宮はもう目を閉じて眠っている。
（田宮くん、僕が好きだから、付き合うんだよね？　好きだから、キスしたんだよね？）
　頭の中は田宮でいっぱいの茉以だったが、その姿はいびつに歪み始めていた。