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「はぁ、あぁ……。はぁ、はぁ、うぅ……」
激しい呼吸を、速い鼓動を、郁実は鎮めていた。
(僕、何だかもう、死んじゃいそう……)
それほどに激しく、深く、熱いひとときだった。
だが、今いるのは、颯真の胸の中。
愛しい人の逞しい両腕に守られ、郁実は充分に体を休めることができるのだ。
あんなに狂った心も、穏やかになっていく。
(そういえば。颯真さんは、魔法使いだったっけ……)
カフェに、素敵なクリスマスの魔法をかけてくれた。
(僕の心と体も、魔法をかけられちゃった)
もう、引きはがせないほどに、颯真さんに夢中になっちゃった。
そんな風に想いを寄せながら、郁実は颯真に頬ずりした。
颯真は、郁実に何か、声を掛けてあげたかった。
しかし今の彼に、どんな言葉を掛けようか。
もともと、会話の少ない二人だ。
事後に、ぺらぺら感想を喋るのも、おかしな話だ。
あんなに乱れた姿を見せた後は、郁実も恥ずかしいに違いない。
「大丈夫か?」
考え抜いた末に思いついたのは、こんなシンプルな言葉だった。
瞼を閉じ、息を荒げていた郁実は、颯真の声に薄目を開けた。
「は、い……」
甘く、蕩けそうな声だ。
颯真は安心して、彼からわずかに離れた。
激しい呼吸を、速い鼓動を、郁実は鎮めていた。
(僕、何だかもう、死んじゃいそう……)
それほどに激しく、深く、熱いひとときだった。
だが、今いるのは、颯真の胸の中。
愛しい人の逞しい両腕に守られ、郁実は充分に体を休めることができるのだ。
あんなに狂った心も、穏やかになっていく。
(そういえば。颯真さんは、魔法使いだったっけ……)
カフェに、素敵なクリスマスの魔法をかけてくれた。
(僕の心と体も、魔法をかけられちゃった)
もう、引きはがせないほどに、颯真さんに夢中になっちゃった。
そんな風に想いを寄せながら、郁実は颯真に頬ずりした。
颯真は、郁実に何か、声を掛けてあげたかった。
しかし今の彼に、どんな言葉を掛けようか。
もともと、会話の少ない二人だ。
事後に、ぺらぺら感想を喋るのも、おかしな話だ。
あんなに乱れた姿を見せた後は、郁実も恥ずかしいに違いない。
「大丈夫か?」
考え抜いた末に思いついたのは、こんなシンプルな言葉だった。
瞼を閉じ、息を荒げていた郁実は、颯真の声に薄目を開けた。
「は、い……」
甘く、蕩けそうな声だ。
颯真は安心して、彼からわずかに離れた。
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