春風のように君を包もう ~氷のアルファと健気なオメガ 二人の間に春風が吹いた~

大波小波

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「九曜さんは、宝飾関係の会社を経営されていてな」
「あの、九曜貴金属さん、ですか」
 貴士の任されている事業は、ブライダルジュエリーを扱う企業だ。
 そのつながりで、父はこの縁談を決めたのだろう。
(浅はかだな)
 貴士は心の中で父を罵りながら、食事を摂っていた。
 早く食べて、こんな茶番は済ませてしまおう。

 しかし、一つひっかかる点がある。
(彼は、昨夜見た夢の中の少年に、似ている)
 雪のように白い肌。
 淡い色の髪。
 円い目に、笑みをたたえた珊瑚の唇。
 華奢な手足は、小柄な体にバランスよく整っている。

 そんな彼が、口を開いた。
「いずれ解ることですから言いますが。兄は竜造寺さまとの縁談を苦に、駆け落ちしました」
「何だって?」
 貴士は、手を止めた。
「兄には、深く愛し合った人がいて。その方と引き裂かれるくらいなら、と」
 その話に、貴士は興味をひかれた。
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