君と笑顔でいたい  ~恋した相手は父の愛人でした! ~

大波小波

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 医務室に、確かに医師はいた。
 だがそれは、理紗に声を掛けてきた白衣の男とは別人だった。
「訊ねたら、今夜はまだ誰も医務室には来ていない、って言うのよ」
「じゃあ、朋は。一体、どこに!?」

 そこへ、勇生が現れた。
 手をポケットに入れたまま、ぶらりと。
「社長就任おめでとう。お兄様」
「勇生くん」
 祝いの言葉とは裏腹に、鋭い目つきの勇生だ。
「だが、これで終わると思うなよ?」
「どういう意味だ」
「俺は、欲張りなんだ。仲良く半分こ、だなんて、まっぴらごめんさ」
 全てを、この手に入れてやる。
 そう言い残し、彼は去って行った。

 不吉な勇生の存在、そして捨て台詞だったが、今はそれどころではない。
「母さん。朋を、探さないと」
「私、フロントに確認してくるわ」
 秋山も動き出し、朋の捜索が始まった。

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