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1話 丈士の目覚め
しおりを挟む春の光の、爽やかな朝。
モーニングの食卓には、怜士と倫。
そして、彩華と光希。
「……丈士さんは、どうしたの? 彼も、ここに泊ったんでしょう?」
「丈士は、少し体調がすぐれないらしくて。個室で朝食を摂りたい、と」
怜士の応えに、彩華はやれやれと肩をすくめた。
「二日酔い、ね。あまりお酒には強くないのに、無茶して飲むからよ。大丈夫かしら」
「そう、おっしゃらないでやってください。丈士は、お姉様と久々にお会いできて、嬉しかったのです」
あら、と彩華は微笑んだ。
「怜士さん、丈士を庇うだなんて。ずいぶん、柔らかくなったのね」
それは確かにそうだ、と怜士は考えた。
(倫の、おかげだ)
彼が現れたことで、弟との距離がぐっと縮まった。
共にお茶を飲み、仲が良かった幼い日々を、しっかりと思い出せたのだ。
そしてそれは、ベッドに横になって唸っている丈士も、感じていた。
「うぅ、頭が痛い。ガンガンする」
せっかく、昨晩は姉兄たちと、楽しいディナーを過ごしたというのに!
「この脆弱な体が、呪わしい!」
大きな声を上げると、またひどい頭痛が丈士をさいなむ。
「モーニングも、ご一緒したかったな……」
そして、姉とその子に対する非礼を、お詫びしたかった。
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