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 久しぶりにお会いして、気分が高揚していたから。
 酒に酔いすぎて、正常な判断力を失っていたから。
 肉親なので、つい甘えた気持ちが前に出てしまったから。
 
 今までの丈士なら、まずそんな言い訳を並べるだろう。
 だが、この日この場の彼は違っていた。
 すぐに頭を下げ、非礼を侘びたのだ。
 そして、急ぎしたためた手紙を直接、彩華に渡してきた。
 さらに、もう一通の封書を取り出した。
「こっちは、光希くん宛てだ」
「僕に?」
 5歳児にも解るように、柔らかな文章で書かれた手紙も、光希に渡された。
 倫は、そのような丈士の心配りが嬉しかった。
(まさか光希くんにまで、お手紙を書いてくださったなんて)
 丈士は元気になって、しかも生まれ変わった。
 そんな報告を怜士にしていた倫だったが、想像以上の改心ぶりだ。
 静かに手紙を読む、彩華と光希。
 彼女らを見守る丈士を、怜士と倫もまた見守った。

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