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しおりを挟む(そして。そんな私たちを見るお父様の眼差しは、優しかった)
奇跡のような、父からの無条件の許しを思い返し、怜士は心から感謝していた。
「怜士さん、ったら。何を一人で、瞑想しているの?」
彩華からの呼びかけに、怜士は慌てて顔を上げた。
「相羽さん。いえ、倫さんが、心配しているわよ?」
「えっ」
隣を見ると、確かに倫が不安げな顔つきだ。
「大丈夫ですか、怜士さん。気分が悪いんじゃ……」
違う違う、と手のひらを横に振る怜士は、少し体をずらして倫に寄り添った。
「少し、考え事をしていただけなんだ」
お父様のことを、ね。
怜士は隠さずに、そう倫に伝えた。
「怜士さんのお父様は、どんな方なんですか?」
「うん、厳格な方だ」
「我が強いわよ」
「とても、恐ろしい」
三人の姉弟は、それぞれの父親像をネガティブな言葉で表現したが、すぐに笑顔を見せた。
「だが、理知的だ」
「凛々しいし」
「とても、頼りになる」
それらの言葉に、倫も笑顔になった。
(何だか、どこかの誰かさんみたいだ)
きっと怜士さんは、お父様に似てらっしゃるんだな。
そんな人なら、怜士さんのような人となら、うまくやって行けそう。
倫は怜士と目を合わせて、にっこり笑った。
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