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 誠はバスローブをまとい、リビングで酒を傾けていた。
「お、上がったな」
 グラスを置くと立ち上がり、露希の肩を抱いて寝室へと促した。
「誠さん、僕と寝るの?」
「さて、寝るまで行けるかな?」
 どういう意味だろう。
 答えは、ベッドの上で教えられた。
「組長が露希に求めるのは、セックスのテクニックだ。それが巧くないと、ご機嫌を損ねる」
 これから私が、それを君の体に叩き込む。
 そんな誠の言葉に、露希は不安になった。
(まさか。誠さんは、昨日の人たちみたいに乱暴じゃないよね)
「まずは、キスからいこうか」
「良かった……」
 キスだけなら、痛いことも無いだろう。
 露希は、誠と唇を重ねた。
「んっ、んぅ、む。っふ、ぅう、んん……」
 何、これ。
 これが、キス!?
 柔らかく唇を食み、舌で敏感な上顎をまるで羽根のようにかすってゆく。
 絡める舌は滑らかにすべり、ただ官能を引き出してくる。
「ん、んぁ。ふぅ、は、あぁ、ん……」
 露希も、夢中で誠に応えた。
 キスだけで、感じて来る。
 下肢がくだけ、痺れて来る。
 ゆるく、中心が勃ってくる。
(こんな。こんなキス、初めて……!)
 今まで嫌々ながらやってきたキスとは、全く違う味がそこにはあった。
 セックスの前戯としか思っていなかったキスは、初めて露希を熱くした。



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