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しおりを挟む「ん~。っん、ふ。んんぅ……」
ただいまのキスにしては、やたら濃厚だ。
(これも、僕がどれだけキスが巧くなったかを確かめるため、なんだよね)
きゅん、と胸が痛む。
涙がにじみそうになる。
ふと、誠が離れた。
「どうかしたか?」
「ん? 何でもないよ。何で?」
ふむ、と誠は首を傾げた。
「今朝より、ぎこちなかった」
「ご、ごめんなさい。今度は、ちゃんと上手にやるよ」
「謝ることでもないさ。カレーライスを食べよう」
「うん」
でこぼこのジャガイモと、不揃いのニンジンが入ったカレーだ。
(は、恥ずかしいかも……)
誠さんが出してくれる料理は、見た目も味も、完璧なのに。
キスも下手だし、僕って何をやってもダメだよね。
だが、誠は明るい声を上げた。
「うん、美味しい!」
「ホント?」
「ああ。とても美味いよ」
誠は、露希のカレーを完食してくれた。
おかわりも、してくれた。
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