期限付きの恋なんて!

大波小波

文字の大きさ
上 下
92 / 100

5

しおりを挟む

 ホテルも手荷物も、渡航の準備も、天羽家の人間が万端に整えている。
 後は、要がそれに従って動くだけだ。
「私は、君に出会えて本当に良かったと思っているよ」
「うん」
「短い間だったけど、ありがとう」
「うん」
「見送りには、来ないで欲しい。辛いから」
「うん」
「それから。それから……」
「うん。うん……」
 花火を眺めながら、要と宇実はずっと語り合っていた。
 手を、固く握り。
 涙を、浮かべて。
 やがてスターマインが花開き、周囲は大きな歓声を上げる。
 その中で、二人はしっかりと抱き合った。
 華やかな光と音の中で、ただひたすら互いを求め合った。


しおりを挟む

処理中です...