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「今日は、仕事が休みなんだ。よかったら、君に付き合おう。何かやってみたいことは、あるか?」
「え? いいんですか?」
「あまり激しいスポーツなどは、だめだ。まだ体がついて来ないだろうからね」
乗馬や狩猟などはNGだ、と雅貴は言う。
(そんな上流階級のスポーツは、やったことないけど)
つくづく、住む世界が違う、と藍は痛感した。
そこで、一番やってみたいことを提案した。
「よかったら僕、このお屋敷を探検してみたいです」
「屋敷内を?」
途方もなく広く、全部は見て回れないだろうけれど、せめて迷子にならない程度に知っておきたい。
そんな思いから生まれた、藍の望みだった。
「いいだろう。食事がすんで落ち着いたら、君の部屋へ迎えに行く」
「ありがとうございます」
二人の会話に、傍の給仕やガードマンは不安になった。
(もし、この少年が)
(屋敷内の物品を盗んで、姿をくらましたら……)
彼らの無言の不安を感じ取った渡辺が、代わって雅貴に伝えた。
「雅貴さま、よろしいのですか?」
「彼は私が招いた大切な客人だ。信じるのは、当たり前だろう」
そう。
雨に濡れて打ちひしがれていた彼を、私は進んでこの屋敷に招いたのだ。
(万が一、彼が窃盗をしたとしても、それは私に人を見る目がなかっただけのこと)
雅貴は、そんな風に思っていた。
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