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 翌日の9時、樹里が社長室に現れた。

「おはよう」
「おはようございます……」

 俯き、小さな声で朝の挨拶をする樹里。
 徹はニヤリと笑うと、声をかけてやった。

「昨夜は、最高に悦かったぞ」
「申し訳ありません!」

 ごめんなさい、許してください、と訴えるところを見ると、どうやら記憶はあるらしい。

「まさか樹里に、あんな一面があったとはね。しっかり覚えたからな」
「綾瀬さん、怒っておられませんか?」
「怒るもんか。散々いい思いを、させてもらったんだからな」

 それより、と徹は意地悪を言った。

「樹里も覚えているんだな? 昨夜の自分を」
「勘弁してください……」

 耳まで真っ赤になって、樹里はすっかり下を向いてしまった。
 発情してたとはいえ、何ていやらしいことを僕はやっちゃったんだ!
 自分の行動を、放った言葉を思い出すと、消えてしまいたくなる。

 しかし、徹は優しかった。
 そんな樹里を責めもしないし、否定もしなかった。

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