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しおりを挟む時子の目は、にこやかだ。
だが、真っ直ぐに古川を射ている。
そんな眼差しに、古川はまず軽い返答で様子をうかがった。
暁斗と昴の仲を、悪くは思っていない。
できれば、応援したい。
そんな気持ちからの、答えだった。
「確かに昴さまには、好意を寄せる人間がいらっしゃるようです」
「そう。では、どこのどなたかしら?」
「申し訳ございません。そこまでは、存じておりません」
「隠しても、ダメよ。私にも、心当たりはあるのだから」
短いやり取りだったが、時子は古川の言葉から手がかりを掴んでいた。
『確かに昴さまには、好意を寄せる人間がいらっしゃるようです』
彼は、好意を寄せる御方、とは言わなかった。
好意を寄せる人間、と表現したのだ。
(社交界の方ではない、ということね。では、古川と対等か、もっとポストの低い人間だわ)
そう判断し、さらに揺さぶりをかけた。
『隠しても、ダメよ。私にも、心当たりはあるのだから』
本当は、全く解らないのだ。
だが、こう言って、古川を半ば脅した。
何もかも、お見通し。
さっさと白状なさい、と。
古川は、頭のいい人間だ。
しかし時子は、その上をいく聡明な人間だった。
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