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1 詩央の想い

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「詩央くん、熱があるんだって?」
「今、休憩室で横になってます」
 杏と同じ日に、真の店に採用された詩央。
 ただしこちらは、ボーイズ・バーの接客スタッフとして、だ。
 客の評判も上々で、すっかり店に馴染んできた矢先の出来事だった。
「無理は良くないな。すぐに帰宅させよう」
「それが。どうしても店長に話したいことがある、とかで」
 真が出勤してくるまで、待っていたのだという。
「何だろう。困った客でもいるのか?」
 悩みなら、聞いてあげなくてはならない。
 真は、詩央の待つ休憩室に向かった。
「詩央くん、開けてもいいか?」
 どうぞ、との声に、真はドアを開けた。
 部屋には彼しかおらず、他のスタッフは皆それぞれの接客ルームに出払っている。
 一人でソファに横になっている彼は、なるほど少し頬が赤いようだった。

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