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1 出会いはクリスマス・イヴ
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温かくきらめく、金色のイルミネーション。
賑やかに響く、クリスマスソング。
楽しそうに歩く、恋人たち。
そんな中を、楠 寿士(くすのき ひさし)は独りで歩いていた。
「クリスマス・イヴを、ボッチで過ごすのは初めてだな」
先月、恋人とは別れた。
というか、捨てた。
寿士より一つ年下の、大学2年生だった。
申し分のないルックスだったが、その性格がだんだん鼻につくようになってきたのだ。
寿士は、度の過ぎた『かまってちゃん』は嫌いだった。
一ヶ月も前からクリスマスの話をぐいぐい押してきて、二人の仲を盛り上げようと必死だった、元・恋人。
『ねえ。夜景の素敵な場所で、ディナーしたい』
『プレゼントは、ペアのアイテムが欲しいな』
『これこれ。見て! ペアのウォッチ。いいんじゃない?』
こんな具合に毎日うるさく言い寄って来る恋人に、嫌気がさした。
「うざいんだよ。ったく」
つぶやく唇から、白い息がこぼれる。
目鼻立ちの整った端正な顔立ちに、フロントアッシュヘア。
さりげないブランドの着こなしが、成金ではない豊かさを物語る。
手足の長い長身に、優秀なアルファのオーラを身にまとった、寿士。
だが彼は、孤独だった。
友人は、大勢いる。
恋人だって、より取り見取りだ。
それでも寿士は、どこか心に、埋められない孔を抱えていた。
誰にも打ち明けたことのない、溶けない氷を抱えていた。
求めても求めても、満たされない何かを抱えていた。
賑やかに響く、クリスマスソング。
楽しそうに歩く、恋人たち。
そんな中を、楠 寿士(くすのき ひさし)は独りで歩いていた。
「クリスマス・イヴを、ボッチで過ごすのは初めてだな」
先月、恋人とは別れた。
というか、捨てた。
寿士より一つ年下の、大学2年生だった。
申し分のないルックスだったが、その性格がだんだん鼻につくようになってきたのだ。
寿士は、度の過ぎた『かまってちゃん』は嫌いだった。
一ヶ月も前からクリスマスの話をぐいぐい押してきて、二人の仲を盛り上げようと必死だった、元・恋人。
『ねえ。夜景の素敵な場所で、ディナーしたい』
『プレゼントは、ペアのアイテムが欲しいな』
『これこれ。見て! ペアのウォッチ。いいんじゃない?』
こんな具合に毎日うるさく言い寄って来る恋人に、嫌気がさした。
「うざいんだよ。ったく」
つぶやく唇から、白い息がこぼれる。
目鼻立ちの整った端正な顔立ちに、フロントアッシュヘア。
さりげないブランドの着こなしが、成金ではない豊かさを物語る。
手足の長い長身に、優秀なアルファのオーラを身にまとった、寿士。
だが彼は、孤独だった。
友人は、大勢いる。
恋人だって、より取り見取りだ。
それでも寿士は、どこか心に、埋められない孔を抱えていた。
誰にも打ち明けたことのない、溶けない氷を抱えていた。
求めても求めても、満たされない何かを抱えていた。
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