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しおりを挟む寿士宅は、街で一番の高級マンションだった。
大学入学を機に、気ままな独り暮らし。
このマンションも、親が買ってくれた。
暮らしに何不自由のない寿士は、タクシーの運転手に気前よく万札を渡していた。
それをちらりと見た瑠衣は、少し悲しくなった。
(やっぱり、お金持ちなんだな)
僕とは、大違い。
安い時給でバイトを掛け持ちし、挙句の果てはミニスカサンタまでやらされる。
いけない、と瑠衣は両手で頬をパチンと挟んだ。
明るい、営業用の声ではつらつと、寿士に声を掛けた。
「ケーキ、全部テーブルに置きました!」
「うん。ありがと」
でも、と瑠衣は素朴な疑問を持った。
広い広いマンションだが、家族がいる様子でもない。
(ケーキ、お一人で五個も食べるのかな?)
そんな瑠衣に、寿士から声が掛けられた。
「全部脱いで、バスルームに入ってよ」
「え? いいんですか?」
タクシーで、あんなことをしでかす男だ。
部屋に入ったら、速攻そのまま犯されるかも、と構えていた瑠衣だったが、その言葉にホッとした。
(寒かったから、助かっちゃった)
そんな風に考えながら、シャワーを使っていた。
そこへ、突然寿士が全裸で入って来たのだ!
「え、あ!?」
手には、なぜかケーキを持っている。
「クリーム溶けちゃうから、お湯止めて」
「は、はい」
あたふたとシャワーを止めると、寿士は5個のケーキを全部バスルームに持ち込んだ。
「じゃ、始めるよ」
「一体、何を……」
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