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しおりを挟む見合いの席で、陽詩は必殺技を封印してくれた。
「大学のキャンパスで、何度かお見かけしました」
そんなことを言って、しらばっくれていた。
(陽詩、どういうつもりだ)
付き合っています、まで喋らなくとも、友人です、くらい言っておけば、縁談は有利に進むのに。
(それにしても……)
それにしても、今日の陽詩はいつもより魅力的に感じられる。
スーツ姿の正装を、見慣れないせいか。
それともお見合いという気負いが、自分にあるせいか。
「では、僕たちはこれから二人で、お茶でも飲みたいと思います」
陽詩の言葉に、寿士は我に返った。
「そうですか。それでは、あとは若い二人に任せて、我々は退散いたしますか!」
笑う父の声が、やけに癇に障る寿士だ。
(ったく、気軽に調子のいいこと言って)
双方の両親と仲人が席を立ち、二人きりになった途端に、陽詩はいつものペースで喋り始めた。
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