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1 素直な心
しおりを挟む正式な婚約は、寿士の大学卒業後に交わすこと。
結婚は、寿士が社会に出て一人前になってから。
そんな条件を付け、父・和士は、寿士と瑠衣との交際を許した。
「その間に、俺が心変わりする、とでも思ってるの、父さん」
『しないとも限らんだろうが』
「俺は、瑠衣を絶対に手放さないから」
『勝手にしなさい。後悔しても知らんぞ』
「でも、許してくれてありがとう」
『礼なら、母さんとお爺ちゃんに言いなさい』
その後、二言三言交わして、寿士は父との通話を切った。
「やったぞ、瑠衣。父さんが、折れた!」
「ひ、寿士さんッ。挿れたまま電話するの、やめて……ッ!」
あ、ごめん、と寿士は腰を浮かせた。
「ぃや、んッ! う、動かないでぇえ!」
マンションの寝室で、二人は睦み合っていた。
その最中に、和士から電話があったのだ。
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