よろず探偵事務所はじめました! ~またはオジサン狼男とネコ少年が最強タッグを組むにいたるまで!~

大波小波

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「寝酒を買うのを、忘れたなぁ」
「料理酒なら、ありますけど」
 和食を作る時のために置いてある料理酒を、未悠はキッチンから出してきた。
「すごいな。料理酒まで置いてあるなんて、本格的だ」
「僕、お料理好きなんです」
 アルコール度数が15%ある料理酒だが、残念ながら飲料には向かない。
 それでも今夜は、少しだけ酔いたい健だった。
「仕方ない、こいつをいただくか」
 奇妙な風味のアルコールを、一杯。
 少しずつ飲みながら、健は未悠に声を掛けた。
「未悠、髪は乾いた?」
「はい、もう少しです」
「先に、寝室に行くから」
 こんな、何気ない会話が、温かく胸に染み入って来る。
(ヤバい。私は、酔ってしまったな)
 酒に、ではなく。
 誰かと暮らす楽しさに。
 未悠が振り返った時、健の背中は寝室へと向かっていた。
「待ってくださいよ、もう」
 髪は生乾きだが、未悠は急いで彼の後を追った。


「別に、逃げも隠れもしないのに」
「少しくらい、待っててくれてもいいじゃないですかぁ」
 仲良く一つのベッドに潜りながら、些細な小競り合いをする二人だ。
「お詫びに、ギュッてしてください」
「えぇ?」
「あ、その。嫌ならいいです! 冗談です!」
 慌てて否定する未悠だったが、健は彼を抱き寄せた。
 幼い子どもにするように、くしゃくしゃと髪を撫でると、未悠の喉が鳴った。
「未悠。今、ゴロゴロって?」
「ご、ごめんなさい! 何か、勝手に鳴りました!」
「気にしない、気にしない。私だって、獣人なんだから」
 そして、この腕の中にいる少年も。
「未悠は、獣人なんだね」
「そうです」
 ああ、今話しかけてくれる人は。
「健さんも、獣人なんですね」
「そうだよ」
 運命で出会った、同種。
 二人は同じ苦しみ、悲しさを背負い、味わってきた仲間だった。
 






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