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6話 死神の影
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「未悠、朝ごはんできたぞ」
「……」
「学校、遅れるよ」
「行きません」
行かなくてもいいから、朝ごはんは食べるんだ。
そんな日常会話を吐く健に、未悠はか細い声を出した。
「僕、恥ずかしいです」
「恥ずかしい? 何が?」
腰に手を当て、ベッドの中の未悠を見下ろす健は、優しい声を掛けた。
「昨夜の僕、変です。おかしかったです。恥ずかしいです」
「未悠、昨夜の君は素敵だった。私は、そう思うよ」
「あんなに、おかしな僕が?」
「おかしいんじゃない。セクシーなんだ。大人への階段だよ」
その言葉に、掛布を頭からすっぽり被っていた未悠は、少しだけ顔を見せた。
「僕を、軽蔑しませんか?」
「するもんか」
良かった、とようやく布団から出て来た未悠は、照れて頬を染めている。
「ミルクティー、淹れるから」
「は、はい……」
身支度を整えた未悠がキッチンへ行くと、そこには温かな朝食が準備されていた。
「これ、健さんが?」
「いつも未悠に任せっぱなしで、ごめんな」
これからは、私も朝食の準備くらいする、と健は優しい。
「完全獣化、あまりできたことないんだろう? 体調を崩しやすいから、辛い時は朝寝坊してもいいよ」
「はい」
「それから。食べたら病院へ行くから」
「はい……」
湿った返事の未悠だ。
健は、その顔を覗き込んだ。
「どうかした? 気分がすぐれない?」
「いいえ。あの、健さんはどうして、ナチュラルに獣化できるんですか?」
「そりゃあ、長年獣人やってるからね。未悠とは経験が違うよ」
それだけ。
(やっぱり健さんはすごいな。僕ったら、完全獣化した後はヘンテコな姿になっちゃうよ)
昨夜、未悠はネコの姿からヒトに戻るまで、ひどく苦労したのだ。
後足がネコのまま、とか。
顔の半分だけネコのまま、とか。
「さ、食べよう」
「ありがとうございます。いただきます」
心にモヤモヤは残ったが、未悠は無理に蓋をしてミルクティーを口にした。
それは、素敵に甘かった。
「……」
「学校、遅れるよ」
「行きません」
行かなくてもいいから、朝ごはんは食べるんだ。
そんな日常会話を吐く健に、未悠はか細い声を出した。
「僕、恥ずかしいです」
「恥ずかしい? 何が?」
腰に手を当て、ベッドの中の未悠を見下ろす健は、優しい声を掛けた。
「昨夜の僕、変です。おかしかったです。恥ずかしいです」
「未悠、昨夜の君は素敵だった。私は、そう思うよ」
「あんなに、おかしな僕が?」
「おかしいんじゃない。セクシーなんだ。大人への階段だよ」
その言葉に、掛布を頭からすっぽり被っていた未悠は、少しだけ顔を見せた。
「僕を、軽蔑しませんか?」
「するもんか」
良かった、とようやく布団から出て来た未悠は、照れて頬を染めている。
「ミルクティー、淹れるから」
「は、はい……」
身支度を整えた未悠がキッチンへ行くと、そこには温かな朝食が準備されていた。
「これ、健さんが?」
「いつも未悠に任せっぱなしで、ごめんな」
これからは、私も朝食の準備くらいする、と健は優しい。
「完全獣化、あまりできたことないんだろう? 体調を崩しやすいから、辛い時は朝寝坊してもいいよ」
「はい」
「それから。食べたら病院へ行くから」
「はい……」
湿った返事の未悠だ。
健は、その顔を覗き込んだ。
「どうかした? 気分がすぐれない?」
「いいえ。あの、健さんはどうして、ナチュラルに獣化できるんですか?」
「そりゃあ、長年獣人やってるからね。未悠とは経験が違うよ」
それだけ。
(やっぱり健さんはすごいな。僕ったら、完全獣化した後はヘンテコな姿になっちゃうよ)
昨夜、未悠はネコの姿からヒトに戻るまで、ひどく苦労したのだ。
後足がネコのまま、とか。
顔の半分だけネコのまま、とか。
「さ、食べよう」
「ありがとうございます。いただきます」
心にモヤモヤは残ったが、未悠は無理に蓋をしてミルクティーを口にした。
それは、素敵に甘かった。
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