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しおりを挟む「疲れていないか、沙穂」
「大丈夫です」
披露宴を終えた夜、沙穂はゆったりとした服装に着替えて真輝の部屋にいた。
「見せたいものがある、って。一体何ですか?」
「もうすぐ始まるよ」
真輝は部屋の窓を大きく開け放ち、傍にソファを動かした。
「さあ、掛けて」
「はい」
暗い夜空に、一筋の光が上がった。
それはたちまち、光でできた大輪の花に開いた。
「わあ! 花火!」
惜しげもなく次々と上がる花火は、夜空を明るく照らしている。
「真輝さん、見せたいものって、もしかして」
「そう。この花火だ」
私と沙穂の、結婚祝いの祝砲だ。
「無駄遣いを、と君に叱られるかと思ったが、これなら地域住民の皆さんにも喜ばれるかと思ってね」
「一番喜んでるのは、この僕です」
うっとりと花火を観あげる沙穂の肩を、真輝は抱いた。
「愛してるよ、沙穂。この命果てようと」
「愛してます、真輝さん。この身が朽ちようと」
花火はきらめき、そして消える。
しかし二人は、その儚い命の元、永遠の愛を誓った。
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