死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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主殿にダンジョンのスタンスピードを任せた私は冒険者ギルドに向かって走っている。

主殿に任せればスタンスピードは直ぐに収まるだろう。

ならば私は犠牲を最低限に収めるためにも主殿の邪魔をしないように冒険者を纏めなければならない。

さっき、冒険者には装備を整えて冒険者ギルドに待機する様に言っているが、冒険者達の中には勝手にダンジョンに潜ろうとする奴が出てくる筈だ。

そいつらがダンジョンに向かう前に止めなければ。

私はそう考え、走るスピードを上げる。

避難誘導はちゃんと出来ている様で私の周りには人が居る様子は無い。

なので多少力を出しても大丈夫だろう。

私は地面を砕かない様に力を調整しつつ、全力で冒険者ギルドを目指す。

そして冒険者ギルドに着いた私は冒険者ギルドの扉をわざと大きく音がなるように開ける。

そのお陰で外まで聞こえてきていた声はシーンと静かになり、冒険者ギルドに居た人は音の発生源である私に注目する。

「皆!聞いてくれ!」

俺は皆に聞こえる様に大きく声を出す。

「皆、装備の点検をしながら私の話を聞いてくれ」

そう言うと冒険者のみんなは装備の点検を再開し始める。

「現在ダンジョンでスタンスピードが起きている事はさっき話しただろう」

私の言葉に何人かは頷いているのが見える。

そして私は話を切り出す。

「先程までは皆にダンジョンに潜ってもらい、スタンスピードに対応しようと思っていたのだが、状況が変わった、ここに居る冒険者に伝える、現時点をもってスタンスピードが終わるまで、ダンジョンに潜ることを禁止する」

「はぁ!?どういう事だ?」

「ふざけんじゃねぇぞ!この国を見捨てろって言うのか!」

俺がそう伝えた瞬間、一部の冒険者が叫んだ。

周りにいる冒険者達も声をあげないでポカーンとしている。

皆は俺がこの国を見捨てて逃げると思ったんだろう。

それもそうだろう、先程までは戦うと言っていたのに状況が変わってダンジョンに潜るなと言われたのだから。

「聞いてくれ、私はこの国を見捨てて逃げる気は一切ない!」

「じゃあなんで俺たちにダンジョンに潜るなって言うんだ!」

「さっきと話がちげぇぞ!」

やはり理由を話さないと信じてくれないか。

「今から理由を話すから静かにしてくれ」

俺はそう言うが一向に静かにならない。

「腰抜けが!今すぐここから出ていきやがれ」

罵倒の声があがるが無視する。

「もう一度言う、今から理由を話すから静かにしてくれ」

再度俺はそう言うが私を罵倒している冒険者や、一部の冒険者は静かにならない。

仕方ない…威圧を発動させるしか無いか。

俺がスキルである威圧を発動させようとした時…冒険者ギルドに大きな音が響く。

私は音の発生源を見る。

そこにはAランク冒険者のクロムが酒場の備え付けのテーブルを真っ二つにしていた。

「ぎゃあぎゃあウルセェな、ギルドマスターの話ぐらい大人しく聞けねぇのか」

「クロムの旦那、でも…」

クロムは冒険者の皆に慕われている兄貴肌の冒険者だ。

先程まで騒いでいた冒険者も戸惑っている様だ。

「でももクソもねぇだろうが」

クロムの声がギルド内に響き渡る。

「てめぇらよく聞きやがれ、ここに居る冒険者の中で一番強いのはギルドマスターだ、それに、あのマスターだぜ?この国を見捨てるなんて選択をする訳が無いだろ、マスターを罵倒するのは良い、だが、それをして良いのはこれから聞く理由がクソみてぇなもんだった時だけだ」

クロムの言葉を皆は静かに聞いていた。

そして一人の冒険者が口を開く。

「そうだよな…あれだけみんなの為に仕事をしているギルドマスターがこの国を捨てて逃げるなんて選択肢をする訳ねぇよな」

その冒険者の声を聞いたクロムは頷いきながら周りを見渡す。

「さて、ギルドマスター、俺たちがダンジョンに入ってはいけない理由、教えてもらおうか」
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