愛玩性具より愛を込めて~オ○ホに転生した私~

キョクトウシラニチ

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4、オナニーホールの修理

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「リコに!リコに傷がぁ!」

 ご主人様の声に私は驚きました。急に叫んだのでビックリしましたが、私はオナホですから別に体が動くなんてことはないですけどね。
「ああっ……何てこと、昨日、無理矢理プレイした時に力が強かった?いや、もしかしたらブラジャーのホックが引っかかったのか……?」
 今日も美丈夫なのに残念なご主人様が私の背中を擦りながらブツブツと呟きました。
 今晩も私にコスチュームを着せてから行為に及ぼうとして、服を脱がせたところで私の傷に気付いたようです。
 ええ、そうですよ。昨夜貴方が鼻息荒く『職場の人妻を半ば無理矢理犯すシチュエーションプレイ』をした時に、力が強かったせいで私の肩甲骨当たりにひっかき傷がつきましたね。
 大したことは無いと思っていたのですが、かなり小さな傷でもご主人様は気になるようです。

「はぁ……やってしまった。……修理に持って行かないと……」
 人工皮膚が傷つくと魔術具の機関に問題があるのでしょうか?小傷も許せないというのならご主人様はとても大事に使ってくれていますね。

 ご主人様が私を布袋に包み、景色が殆ど見えなくなりました。そして、なにやら呪文を唱えました。
 窓を開けると彼は私を抱えて空を飛んだようです。私はちょっとだけ開いている布袋の隙間から見えた外の景色に感嘆しました。
 あ、私どこでも視点が動くんですよ、今は肩の辺りに視点を持っていっています。
 ……行為中に股近くに視点を動かした事なんてないですよ。ご主人様の揺れる玉がアメリカンクラッカーみたいだなんて思った事……無いったらない。

 前世のヨーロッパの街並みのような洋風な屋敷が整然と並び、闇夜に街灯が光っているのが見えました。遠くの方の住居の多い場所にも沢山の窓からの光が漏れていました。結構大きな国なんですね。
 異世界だわぁ……なんてワクワク気分です。
 ご主人様に抱えられてその空を飛んでいます。私がもし生きている人間だったら、楽しくてウキウキ声を出していたかも、という程高揚した気分になりました。
 昼間も見てみたいな。
 私はいつもご主人様の寝室にいるので、こうして外に出られるのは初めてなのです。

 転生後?、実験室の様なところで目を覚ました時、私は最初の意識がボンヤリしていてそのあたりをハッキリと覚えていません。賢そうな眼鏡をかけた人が私を包んで、ご主人様の所に持って行ったのをなんとなくは覚えているくらいでしょうか。
 ご主人様に何度か使われている内に、前世と今の自己意識を覚醒させました。
 前世での付喪神的な存在なのかしら?でも作られて一年も経っていないと思うけど。付喪神って古い道具に宿る妖怪?よね。

「やぁ、ヘインリヒ。いきなり連絡が来て驚いたよ。どれ、見せてくれるかい?」
「済まないな」
 ご主人様が私をそっと布袋から出しました。

 私が持ち込まれた場所は魔法省の魔術具部研究所という大きな建物のフロアの一室のようです。
 夜遅くにもたくさんの研究員がいて、彼等は淡々と白衣を着て何かを作ったり、記録を取ったりと忙しそうに働いています。
 その中でも大きな机を構えている部長さんのような人に私は渡されました。
 ああ、この人はなんとなく覚えている。私がこの世界で一番最初に目に入れた人物かも……

 部長っぽい人はヘインリヒさんよりも少し年上の男性で、肩までの金色の長髪に角ばった眼鏡をかけていた。その人が私の背中の辺りをジッと拡大鏡越しに見ています。
「大したことない」
 彼は眼鏡を指で押し上げてから、ヘインリヒさんにそう伝えました。
 わぁ、金髪のインテリ眼鏡の魔法使いですね。
 ご主人様はホッとしているようです。
「良かった。少し不注意だった。これからは気を付ける」
 キリッとした涼しい顔してますけど、ご主人様……昨日の私に着せた「白色の禁欲的な下着」を付けたまま持ってこなくてもいいんじゃない?見てよ、この部長さんらしき人も目を泳がせてるわよ。確かにこれを付けなかったらおっぱいとか局部とか丸見えだけどさ。もうちょっと考えようよ。ほら、この間の彼シャツの方がマシだったと思うのよ。人間でもない私には羞恥なんて湧いてこないけどね。

 二人は微妙な空気でやり取りした後、「では明日には修理が終わっているから、取りに来てくれるか?」と言われると、ヘインリヒさんは「今治せないのか?」とションボリしながらもすぐ言い返しています。あ、さっき自慰しようとして私に服を着替えさせようとしてたから、ムラムラしているのですかね。
「……いや、人工皮膚の補修素材を今切らしているから……必ず明日には直っているし、待ってくれるか?」
 角ばった眼鏡の奥の紫がかった瞳を動揺させながらも、部長はグイグイくるヘインリヒさんにそう言い聞かせた。

 こうして私は生まれて?初めて、他所にお泊りとなりました。


 お泊りは楽しかったです。

 魔法省魔術具研究所は魔法の力で二十四時間稼働しているらしく、三交代制になっていました。
 私を直してくれているドルトン博士はこの魔術具部の部長をしている人らしく、ヘインリヒさんが帰った後も真面目に私の修理をしてくれました。
 オナホの小傷を修理してくれるお偉いさん……シュールだわぁ……
 ドルトン博士は私の下着姿を何とかしたかったらしく、修理が終わると女性用のTシャツを着せてくれて、優しく処理済みの箱へとそっと置かれた。

 昼過ぎからこの研究室の様子を見学させてもらっていると、色んな事が分かりました。ご主人様の寝室では知り得ないことばかりです。

 魔術具の研究室にも事務や研究者と試験する人達もいて、大勢の人が色んなものを作っているようだ。
 まるで前世の会社みたい……なんて思う。やっぱりこの世界は前世のいうところの近代に近い文化レベルがありそうだ。
 箱の中のマネキンの胴体の様な私を見て、この研究所の職員さんは一瞬ビックリしてマジマジ見ているから、私はやっぱり一般的な魔術具ではないんだろう。

 処理済みの箱の中には修理や検査されたものが次々に入ってくる。
 初めて見る他の魔道具に私も興味津々です。
 一人の職員は普通のランタンみたいなものに軽く触れているだけで、光量を調節したり色を変えたりしていました。光の量や色を自在に変えられるランタンなんだと、私はその様子を興味深く観察しました。他にも色んな人達が沢山の魔術具を手にしては記録を取ったり、実験したりしています。
 職員には魔法使いが多いのか金の色彩が入った髪で不思議な色の目をしている人が目立ちます。
 ご主人様も私の前で沢山魔法を使っているけれど、こうしていると本当に魔法のある世界なんだと感心しました。
 ダメ元で他の魔術具に話しかけてみましたけど、全く返事はありません。私だけがおかしいのか、それとも魔術具にはみんな意思があるけどお互いの意思疎通は出来ないかですね。よく分かりません。
 いつもの代わり映えのない寝室での時間と違って魔術具研究室は面白く、私はそれらを寝るのも忘れて興味津々で見ていました。

 夜勤だったドルトン博士が昼過ぎに帰宅した後、しばらくして急に私の後ろから誰かが声をあげました。
「うわっ!何このマネキンみたいなの!?」
 どうやら私に驚いた人はこの研究室の人ではないみたいで、研究室の人たちとはちょっと毛色が違います。茶髪にメッシュで金色は入っているけれど瞳には紫色がなくて、彼は魔法使いではなさそうな外見です。

「よう、レイロ。元気かい?」この研究所の真面目そうなモジャモジャ金髪の職員の一人が部屋に入って来た彼に声を掛けた。ホッ、良かった。このレイロって呼ばれた人ちょっと不真面目そうな感じなんだよね。擦れた雰囲気がある人だわ。
「ああ元気元気。えーっと、はい。コレ、事務長からの指示書」レイロは手に持っていた封筒を彼に渡しました。
「え!もしかして!古代ヘラチオン文明の発掘調査のやつ?!」
「たぶんそうじゃねぇかな。なぁ、このマネキンみたいなやつ何?」
 彼はよほど私が気になるのか、再度研究員さんに聞いてきた。
「ああ。修理品だよ。魔術具だけど、僕は詳しい事は知らないなぁ。部長の案件だし」
「へぇ」
 そう言うと気になったのか私に付いていたプレートの内容を覗き込みました。
 あ、ちょっと……何書いてるか見えないけど、オナホとか書いてたら嫌だな。
「ゼルナー……」彼は小さな声で私のご主人様の苗字を呟きました。
 ご主人様の名前が記入されていたのかしら。
「ああ、『氷結の魔法使い』だよね。昨日の晩やって来て修理を頼んできたけど、凄く大事な物らしいよ。チラっと見たけど相変わらず怖かったよー。ああ、そんな事より、ヘラチオン文明の魔法を君は知ってる?」
 もしかして氷結の魔法使いって、ご主人様のこと?あのオナホにコスプレして毎日ハァハァしている変態のこと?まさかね。ヘラチオン文明って古代文明か何かかな?
「え?さ、さあ。俺は魔法はてんでだからさ。あれだろ、色んな条件が揃って偶然古代文明の魔法が急に展開されたりとか、普通の魔法が何故か使えなかったりとかするって……」
「そうそう。あの謎に包まれている古代ヘラチオン文明の魔術を僕らは使用しているって言うけど、まだはっきりと解明されていない事ばかりなんだ。……それで、凄いんだよ!僕達前のヘラチオンの発掘物調査で、古代魔術具に現代と全く同じ記述がある魔法術式を見つけてね!いやぁ、あれには感動したよ。そこから紐解かれる事が多いかもしれないからさ、――が――で……」
「はいはい。じゃあな」
 レイロという男は研究員の止まらない魔術具の話から逃げる様に、手を振ってこの部屋から出て行った。……この研究員の人って魔術バカそうだもんね。話が長くなりそうだから逃げたのだろう。
「あっ……今から良い所なのに……」
 残念そうにモジャモジャ金髪の研究員さんは肩を落としたけど、すぐにあの男が持ってきた封筒をウキウキした顔で開き始めた。
 へぇ、この世界でも古代文明を研究しているんだわ。そこに失われた魔法とかがあるんだろうなぁ……ロマンよね。

 研究員さん達は中に入っていた発掘物のボロボロの古紙を持って、自分の作業場に行ってしまった。遠くからでも彼らは楽しそうに古代文明の発掘物について議論しているのが見えました。

 それから数時間経ち、ご主人様であるヘインリヒさんが自分の仕事帰りに私を引き取りにやって来ました。
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