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プロローグ
転生令嬢は婚約破棄後も妄想する
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大勢が賑わうパーティが催される侯爵家の大広間、沢山の着飾った貴族の一人、子爵家の長男の平坦な声が周りを静かにさせた。
「君との婚約は考え直させてもらいたい」
「え?」
この言葉を掛けられた令嬢は、思わずといった声を出していた。
「だから、君との婚約を考え直したいんだ」
苛立った顔をした彼は目の前の婚約者にそう言い捨てた。
「な…なぜ…でしょうか?」
驚いた顔をした女は狼狽しつつも目の前の男の婚約解消の理由を知りたがった。
「なぜって…君はちっとも僕を好きになってくれないじゃないか。いつもどこか違う男を見ては顔を赤らめて!僕が気付いていないとでも思っていたのか!…き、今日だってっ…」
思わず大きな声を出した男は、自分の口を押えてバツの悪そうな顔をして、少し声を落として続ける。
「と、…とにかく、僕はもう君との結婚は考えられないんだ。近日中に正式に君の家に知らせを送らせてもらう。…僕はもうここを下がらせてもらうよ。パーティ楽しんで」
彼は婚約者を置いて、大広間を後にしてしまった。
未婚の貴族令嬢がパートナーに婚約破棄の宣言をされて、パーティに置き去りされた。今起こった事件を見た人々は、嘲笑の声と、二人を非難する言葉を無責任に吐いた。
「まぁ…、お可哀想に…でもあのお身体じゃ、ねぇ?」
その中には心の無い嘲笑まで含まれている。取り残された令嬢がふくよかな身体をしているので、プロポーションに気をつけているご婦人は論って笑う。
周りにいた人たちも令嬢に同情的な声を漏らすが、何処か嘲笑を含んでいた。
だが、一人残された彼女の胸中はというと…
ああー婚約破棄かぁ…モブの令嬢を捨てて、どこの男性の下にいかれるのかしら!いや下じゃなくて上?私の元婚約者は攻め?受け?多分受けだと思うけど…そうね、ご友人のA氏となら受けだわね。うんうん。しょうがない。二人の愛を応援します。
でも、何もこんなパーティの時にしかも大広間で言わなくてもよくない?あ、さっきのウェイターとあの令息のやり取りに萌えてたのがバレて勘違いされたのか…
まぁ、確かに私も悪かったかも知れないわね。だって彼って顔が好みじゃ無いからあんまり妄想に使えないし、四角四面で生真面目な彼じゃ、正直言って萌えにかけるのよ!他所の男の方がまだ萌えるわ。あの人男性相手には微笑も浮かべないし。
はぁ、周りから馬鹿にした視線だけ送られるし、こんなパーティはお料理の味見してからお暇しましょう。
と、腐り切った思考と食欲を持って、平然と食べ物が置いてある一角に向かう。
彼女は所謂転生者であったが、小説の本編に名前も出てこないモブ中のモブだった。
そして、彼女はこの世界がどんなものかも全く知らなかった。
異世界であることは天体を観測すれば地球でないことは分かり確実であるが(月が3つある)、乙女ゲームなのか、小説の中なのか、果たして違う次元への転生か…
気付けば19世紀末のイギリス貴族社会のような世界で彼女は生きていた。電気とかは無いのに公衆衛生やインフラは何故か発達しているこの異世界で。
「レディ、大丈夫ですか?」
令嬢がモグモグと鴨のパイを食べていると、後ろから低い声が響いた。
なんだろう?私のこと?
既に気を持ち直していた令嬢は、目の前に立つ屈強で美丈夫な騎士様を見上げた。
令嬢は生まれてこの方、騎士といえば父と親戚(彼女の家は武官が多い)以外と話をしたことが無かったし、目の前の男性には面識がないはずだった。しかし、どこかで見覚えがある。どこだっただろうか。
「もし、良ければ、気分転換に私めが庭園でもご案内しましょうか?」
彼の方を向き直った令嬢は意外と平然としていて、それに少し驚いたのか騎士が少し目を大きくさせながら、令嬢に手を差し出した。
令嬢はその手を見て、ふわりと微笑んだ。
思い出した。
この人は王国騎士団のキュベール・ゼストさまだわ。
オラオラ系なのに誘い総受け設定(自分の妄想)だったはず。
あー!そうかそうか。いつも見学してる騎士団の鍛錬の時と違って、今日は正装でお髭も剃って髪を後ろに撫で付けてるから分かんなかったわ。
一昨日も模擬試合で何人か打ちのめしてましたね。その後、仲間達とお互いの剣の腕を称え合ってましたわ。肩を抱いて。肩を抱いてね。肩を抱き合ってね。
その後はきっと…
治まりきらない闘志を情欲に変えて、変わるがわる仲間の騎士様達の剛直をその形の良いお尻に咥え込んでいらっしゃったのね♡
「ほら、早く入れろよ!」なんて汗と精液でドロドロになりながら、菊門を自らの手で広げて…嗚呼…
差し出された手を見つめながら令嬢がそんな事を考えているなんて騎士は思ってもいなかった。
だが、彼は彼で下衆い事を考えていた。
うーん?意外に平気じゃん。この令嬢。
婚約者に振られて泣きそうになってる所を付け込んで1発ヤらせて貰おうかと思ってたけど、冷え切ってたのかな?泣いてもないし、鴨のパイ食ってるし。
この子の笑顔結構好きなんだよな…。
なんつーかふっくらした聖母みたいな慈愛のある顔するよな。普段ちょっと太ってて目立たない令嬢だけど…鍛錬中にその微笑で俺のこと舐め回すみたいに見てたの知ってんだぞ。ほら、やろうぜ。あいつより可愛がってやるからさ。しかし胸でかいな。揉みてぇ。乳首何色かな?
彼はその外見通りの人だった。
人好きする綺麗な笑顔と騎士の割には少し長い黒髪と印象的なスッキリした青い目、鍛え上げられた身体、通った鼻筋がいかにも女泣かせで、実際何人も女を泣かせてきた男だ。令嬢の前世の言葉を借りるなら『チャラ男・ヤリチン』に分類される人種である。
冷静になった令嬢は『パーティ会場の雰囲気の為に外で過ごせ』と騎士に暗に連れ出されていると思い、そっとその手を取った。
騎士はその手の感触に電撃を受けた。
令嬢の手はフワフワとしてきめ細かく肌が吸い付くようだった。日々の研鑽による皮の分厚く硬い手にそれが重ねられると、騎士はその感触にビクリと肩を揺らす。
日々鍛錬を重ねる彼は強盗を捕まえたこともあれば、戦闘で人を殺したこともあったし、肝は座っていると自分でも自負している。その彼が衝撃で肩を揺らしたのだ。
それほど令嬢の手は気持ちよく、彼より少し体温が低いそれは心地良かった。
なんだこの手!この肌!?
今まで浮き名を流してきた彼は最近では自分のイチモツが暴走する事なんてなかった。そんな事はかなり若い時だけだった。
騎士は初めて握った彼女の手の感触に驚きと興奮をして、ただ令嬢をエスコートして外に連れ出しているだけだったのに、騎士服の下の下着の中で彼自身が主張をして痛い位だった。
中庭までエスコートする。途中、ザワザワと騎士の事を揶揄うような声が聞こえたが、彼は何も気にしなかった。
そんなことよりもう少しこの手を、肌を触りたくて、騎士は物陰に令嬢を連れ込みたかった。
無意識に親指で令嬢の手の甲をスルスルと触ってしまう。
なに?この人?
令嬢は手の甲をスリスリと騎士の親指が擦っているのに気付いて、前世で散々痴漢にあった事を思い出した。
その感触を確かめる動きに、令嬢は鳥肌を立てた。
馬車が待つ車止めでもなく、開けた中央庭園でもなく、中庭の人の少ない方に騎士が連れて行こうとしているのも令嬢に恐怖を感じさせるのに十分だった。
「ちょっ、ちょっと待って下さらない?」
焦って彼女が言った言葉も、騎士は反応もせず、背の高いバラ園へと腰を抱かれて連れていかれそうになった。
「な、な、な、何すんのよ!!!」
令嬢らしからぬ身のこなしで、くるりと身を翻して、姿勢を低くして騎士が持つ手を解くと令嬢は質量の大きな腕の重さを肘一点に込めて、騎士の鳩尾に当てた。
それは一瞬のことで、令嬢相手に騎士が動くこともできず、無防備な腹筋と肋骨あたりに令嬢の腕と体重がかけられた右肘がクリーンヒットしたのだった。
「っ…こ、かはっ」
騎士が悶えるのを見て、令嬢は罵声を浴びせた。
「変態!痴漢!」
令嬢はドスドスと足音をさせながら走り去る。
これが二人の出会いだった。
「君との婚約は考え直させてもらいたい」
「え?」
この言葉を掛けられた令嬢は、思わずといった声を出していた。
「だから、君との婚約を考え直したいんだ」
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「な…なぜ…でしょうか?」
驚いた顔をした女は狼狽しつつも目の前の男の婚約解消の理由を知りたがった。
「なぜって…君はちっとも僕を好きになってくれないじゃないか。いつもどこか違う男を見ては顔を赤らめて!僕が気付いていないとでも思っていたのか!…き、今日だってっ…」
思わず大きな声を出した男は、自分の口を押えてバツの悪そうな顔をして、少し声を落として続ける。
「と、…とにかく、僕はもう君との結婚は考えられないんだ。近日中に正式に君の家に知らせを送らせてもらう。…僕はもうここを下がらせてもらうよ。パーティ楽しんで」
彼は婚約者を置いて、大広間を後にしてしまった。
未婚の貴族令嬢がパートナーに婚約破棄の宣言をされて、パーティに置き去りされた。今起こった事件を見た人々は、嘲笑の声と、二人を非難する言葉を無責任に吐いた。
「まぁ…、お可哀想に…でもあのお身体じゃ、ねぇ?」
その中には心の無い嘲笑まで含まれている。取り残された令嬢がふくよかな身体をしているので、プロポーションに気をつけているご婦人は論って笑う。
周りにいた人たちも令嬢に同情的な声を漏らすが、何処か嘲笑を含んでいた。
だが、一人残された彼女の胸中はというと…
ああー婚約破棄かぁ…モブの令嬢を捨てて、どこの男性の下にいかれるのかしら!いや下じゃなくて上?私の元婚約者は攻め?受け?多分受けだと思うけど…そうね、ご友人のA氏となら受けだわね。うんうん。しょうがない。二人の愛を応援します。
でも、何もこんなパーティの時にしかも大広間で言わなくてもよくない?あ、さっきのウェイターとあの令息のやり取りに萌えてたのがバレて勘違いされたのか…
まぁ、確かに私も悪かったかも知れないわね。だって彼って顔が好みじゃ無いからあんまり妄想に使えないし、四角四面で生真面目な彼じゃ、正直言って萌えにかけるのよ!他所の男の方がまだ萌えるわ。あの人男性相手には微笑も浮かべないし。
はぁ、周りから馬鹿にした視線だけ送られるし、こんなパーティはお料理の味見してからお暇しましょう。
と、腐り切った思考と食欲を持って、平然と食べ物が置いてある一角に向かう。
彼女は所謂転生者であったが、小説の本編に名前も出てこないモブ中のモブだった。
そして、彼女はこの世界がどんなものかも全く知らなかった。
異世界であることは天体を観測すれば地球でないことは分かり確実であるが(月が3つある)、乙女ゲームなのか、小説の中なのか、果たして違う次元への転生か…
気付けば19世紀末のイギリス貴族社会のような世界で彼女は生きていた。電気とかは無いのに公衆衛生やインフラは何故か発達しているこの異世界で。
「レディ、大丈夫ですか?」
令嬢がモグモグと鴨のパイを食べていると、後ろから低い声が響いた。
なんだろう?私のこと?
既に気を持ち直していた令嬢は、目の前に立つ屈強で美丈夫な騎士様を見上げた。
令嬢は生まれてこの方、騎士といえば父と親戚(彼女の家は武官が多い)以外と話をしたことが無かったし、目の前の男性には面識がないはずだった。しかし、どこかで見覚えがある。どこだっただろうか。
「もし、良ければ、気分転換に私めが庭園でもご案内しましょうか?」
彼の方を向き直った令嬢は意外と平然としていて、それに少し驚いたのか騎士が少し目を大きくさせながら、令嬢に手を差し出した。
令嬢はその手を見て、ふわりと微笑んだ。
思い出した。
この人は王国騎士団のキュベール・ゼストさまだわ。
オラオラ系なのに誘い総受け設定(自分の妄想)だったはず。
あー!そうかそうか。いつも見学してる騎士団の鍛錬の時と違って、今日は正装でお髭も剃って髪を後ろに撫で付けてるから分かんなかったわ。
一昨日も模擬試合で何人か打ちのめしてましたね。その後、仲間達とお互いの剣の腕を称え合ってましたわ。肩を抱いて。肩を抱いてね。肩を抱き合ってね。
その後はきっと…
治まりきらない闘志を情欲に変えて、変わるがわる仲間の騎士様達の剛直をその形の良いお尻に咥え込んでいらっしゃったのね♡
「ほら、早く入れろよ!」なんて汗と精液でドロドロになりながら、菊門を自らの手で広げて…嗚呼…
差し出された手を見つめながら令嬢がそんな事を考えているなんて騎士は思ってもいなかった。
だが、彼は彼で下衆い事を考えていた。
うーん?意外に平気じゃん。この令嬢。
婚約者に振られて泣きそうになってる所を付け込んで1発ヤらせて貰おうかと思ってたけど、冷え切ってたのかな?泣いてもないし、鴨のパイ食ってるし。
この子の笑顔結構好きなんだよな…。
なんつーかふっくらした聖母みたいな慈愛のある顔するよな。普段ちょっと太ってて目立たない令嬢だけど…鍛錬中にその微笑で俺のこと舐め回すみたいに見てたの知ってんだぞ。ほら、やろうぜ。あいつより可愛がってやるからさ。しかし胸でかいな。揉みてぇ。乳首何色かな?
彼はその外見通りの人だった。
人好きする綺麗な笑顔と騎士の割には少し長い黒髪と印象的なスッキリした青い目、鍛え上げられた身体、通った鼻筋がいかにも女泣かせで、実際何人も女を泣かせてきた男だ。令嬢の前世の言葉を借りるなら『チャラ男・ヤリチン』に分類される人種である。
冷静になった令嬢は『パーティ会場の雰囲気の為に外で過ごせ』と騎士に暗に連れ出されていると思い、そっとその手を取った。
騎士はその手の感触に電撃を受けた。
令嬢の手はフワフワとしてきめ細かく肌が吸い付くようだった。日々の研鑽による皮の分厚く硬い手にそれが重ねられると、騎士はその感触にビクリと肩を揺らす。
日々鍛錬を重ねる彼は強盗を捕まえたこともあれば、戦闘で人を殺したこともあったし、肝は座っていると自分でも自負している。その彼が衝撃で肩を揺らしたのだ。
それほど令嬢の手は気持ちよく、彼より少し体温が低いそれは心地良かった。
なんだこの手!この肌!?
今まで浮き名を流してきた彼は最近では自分のイチモツが暴走する事なんてなかった。そんな事はかなり若い時だけだった。
騎士は初めて握った彼女の手の感触に驚きと興奮をして、ただ令嬢をエスコートして外に連れ出しているだけだったのに、騎士服の下の下着の中で彼自身が主張をして痛い位だった。
中庭までエスコートする。途中、ザワザワと騎士の事を揶揄うような声が聞こえたが、彼は何も気にしなかった。
そんなことよりもう少しこの手を、肌を触りたくて、騎士は物陰に令嬢を連れ込みたかった。
無意識に親指で令嬢の手の甲をスルスルと触ってしまう。
なに?この人?
令嬢は手の甲をスリスリと騎士の親指が擦っているのに気付いて、前世で散々痴漢にあった事を思い出した。
その感触を確かめる動きに、令嬢は鳥肌を立てた。
馬車が待つ車止めでもなく、開けた中央庭園でもなく、中庭の人の少ない方に騎士が連れて行こうとしているのも令嬢に恐怖を感じさせるのに十分だった。
「ちょっ、ちょっと待って下さらない?」
焦って彼女が言った言葉も、騎士は反応もせず、背の高いバラ園へと腰を抱かれて連れていかれそうになった。
「な、な、な、何すんのよ!!!」
令嬢らしからぬ身のこなしで、くるりと身を翻して、姿勢を低くして騎士が持つ手を解くと令嬢は質量の大きな腕の重さを肘一点に込めて、騎士の鳩尾に当てた。
それは一瞬のことで、令嬢相手に騎士が動くこともできず、無防備な腹筋と肋骨あたりに令嬢の腕と体重がかけられた右肘がクリーンヒットしたのだった。
「っ…こ、かはっ」
騎士が悶えるのを見て、令嬢は罵声を浴びせた。
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