1 / 1
透き通る
しおりを挟む
.
丁寧にラッピングを施されたそれは、色とりどりに輝いていた。
「琥珀糖っていうんだよ、これ。知ってる?」
「ガラスみたい……」
彼女はその言葉に、だよね、と言って微笑んだ。
「わたしもそう思ったの。硝子の欠片が集まったみたいで幻想的だなあって……」
だから君にも見せたくて、そう付け加えて言う彼女の頬は、少し赤らんでいるようだった。
中から一粒だけ取り出して太陽に透かして見ると、光が乱反射して余計に輝きを見せた。
どの角度から見てもキラキラと、精一杯に自身の美しさを主張している。
それは硝子の欠片というよりも、宝石のようだった。
口へ運ぶと、シャリ、という音がした。
とろりとしたゼリーのようなものが甘味といっしょに口の中全体へと広がっていく。
脳裏に焼き付ける様に、一口ひとくちを丁寧に味わった。
ふと、彼女の視線に気付く。彼女は真っ直ぐな瞳でこちらを見据えて、静かに言った。
「琥珀糖ってね、作るのにかなり時間が掛かるんだ。何時間、何日と掛けて、宝石にするの」
その言葉を耳にしながら、もう一粒取り出す。
彼女は続けた。
「でも消えて無くなるのは一瞬なんて、儚いのね」
シャリ、という音が再び骨を伝わった。
同時に彼女の瞳を捉える。その瞳は、遠く、遠くを見据えている様だった。
「だから余計に綺麗なのかな」
彼女の言葉は澄んだ空へと溶けてゆく。
食べかけの琥珀糖を、もう一度太陽の光に照らして見せた。
その光越しに見た彼女は、より一層キラキラと輝いていて危うげで、今にも消えてしまいそうな程、美しかった。
丁寧にラッピングを施されたそれは、色とりどりに輝いていた。
「琥珀糖っていうんだよ、これ。知ってる?」
「ガラスみたい……」
彼女はその言葉に、だよね、と言って微笑んだ。
「わたしもそう思ったの。硝子の欠片が集まったみたいで幻想的だなあって……」
だから君にも見せたくて、そう付け加えて言う彼女の頬は、少し赤らんでいるようだった。
中から一粒だけ取り出して太陽に透かして見ると、光が乱反射して余計に輝きを見せた。
どの角度から見てもキラキラと、精一杯に自身の美しさを主張している。
それは硝子の欠片というよりも、宝石のようだった。
口へ運ぶと、シャリ、という音がした。
とろりとしたゼリーのようなものが甘味といっしょに口の中全体へと広がっていく。
脳裏に焼き付ける様に、一口ひとくちを丁寧に味わった。
ふと、彼女の視線に気付く。彼女は真っ直ぐな瞳でこちらを見据えて、静かに言った。
「琥珀糖ってね、作るのにかなり時間が掛かるんだ。何時間、何日と掛けて、宝石にするの」
その言葉を耳にしながら、もう一粒取り出す。
彼女は続けた。
「でも消えて無くなるのは一瞬なんて、儚いのね」
シャリ、という音が再び骨を伝わった。
同時に彼女の瞳を捉える。その瞳は、遠く、遠くを見据えている様だった。
「だから余計に綺麗なのかな」
彼女の言葉は澄んだ空へと溶けてゆく。
食べかけの琥珀糖を、もう一度太陽の光に照らして見せた。
その光越しに見た彼女は、より一層キラキラと輝いていて危うげで、今にも消えてしまいそうな程、美しかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる