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透き通る
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丁寧にラッピングを施されたそれは、色とりどりに輝いていた。
「琥珀糖っていうんだよ、これ。知ってる?」
「ガラスみたい……」
彼女はその言葉に、だよね、と言って微笑んだ。
「わたしもそう思ったの。硝子の欠片が集まったみたいで幻想的だなあって……」
だから君にも見せたくて、そう付け加えて言う彼女の頬は、少し赤らんでいるようだった。
中から一粒だけ取り出して太陽に透かして見ると、光が乱反射して余計に輝きを見せた。
どの角度から見てもキラキラと、精一杯に自身の美しさを主張している。
それは硝子の欠片というよりも、宝石のようだった。
口へ運ぶと、シャリ、という音がした。
とろりとしたゼリーのようなものが甘味といっしょに口の中全体へと広がっていく。
脳裏に焼き付ける様に、一口ひとくちを丁寧に味わった。
ふと、彼女の視線に気付く。彼女は真っ直ぐな瞳でこちらを見据えて、静かに言った。
「琥珀糖ってね、作るのにかなり時間が掛かるんだ。何時間、何日と掛けて、宝石にするの」
その言葉を耳にしながら、もう一粒取り出す。
彼女は続けた。
「でも消えて無くなるのは一瞬なんて、儚いのね」
シャリ、という音が再び骨を伝わった。
同時に彼女の瞳を捉える。その瞳は、遠く、遠くを見据えている様だった。
「だから余計に綺麗なのかな」
彼女の言葉は澄んだ空へと溶けてゆく。
食べかけの琥珀糖を、もう一度太陽の光に照らして見せた。
その光越しに見た彼女は、より一層キラキラと輝いていて危うげで、今にも消えてしまいそうな程、美しかった。
丁寧にラッピングを施されたそれは、色とりどりに輝いていた。
「琥珀糖っていうんだよ、これ。知ってる?」
「ガラスみたい……」
彼女はその言葉に、だよね、と言って微笑んだ。
「わたしもそう思ったの。硝子の欠片が集まったみたいで幻想的だなあって……」
だから君にも見せたくて、そう付け加えて言う彼女の頬は、少し赤らんでいるようだった。
中から一粒だけ取り出して太陽に透かして見ると、光が乱反射して余計に輝きを見せた。
どの角度から見てもキラキラと、精一杯に自身の美しさを主張している。
それは硝子の欠片というよりも、宝石のようだった。
口へ運ぶと、シャリ、という音がした。
とろりとしたゼリーのようなものが甘味といっしょに口の中全体へと広がっていく。
脳裏に焼き付ける様に、一口ひとくちを丁寧に味わった。
ふと、彼女の視線に気付く。彼女は真っ直ぐな瞳でこちらを見据えて、静かに言った。
「琥珀糖ってね、作るのにかなり時間が掛かるんだ。何時間、何日と掛けて、宝石にするの」
その言葉を耳にしながら、もう一粒取り出す。
彼女は続けた。
「でも消えて無くなるのは一瞬なんて、儚いのね」
シャリ、という音が再び骨を伝わった。
同時に彼女の瞳を捉える。その瞳は、遠く、遠くを見据えている様だった。
「だから余計に綺麗なのかな」
彼女の言葉は澄んだ空へと溶けてゆく。
食べかけの琥珀糖を、もう一度太陽の光に照らして見せた。
その光越しに見た彼女は、より一層キラキラと輝いていて危うげで、今にも消えてしまいそうな程、美しかった。
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