夏の日に

烈風

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運動会編

役決め

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「では、今から運動会の種目を決めていくから、やりたい種目があったら手をあげてね」

運動会…それは運動ができない奴を公開処刑するために設けられた行事…。

万年運動音痴の僕からすれば憂鬱でしかなかった

しかし…今年は違う……

(成宮にアピールできる!)

野心と下心により、例年とは比べ物にならない意気込みであった

「…しかしどうしたものか…」

前述の通り運動音痴の僕が活躍できる場所など限られている……

悩みに悩み抜いた末に思いついたのは

そうだ!騎馬戦の大将になろう!

多少声に自信はないが…まあ大丈夫だろ

そんな軽い気持ちで僕は騎馬戦の大将に立候補した

しかし…

「お、お前もか」

まさかの佑も立候補していたのである

「じゃあ2人前に出てきて」

「掛け声を出して、どちらがいいかみんなに決めてもらおう」

先生がなんの脈絡もなくそう言い放った

僕は絶望した…佑に声で勝てるわけないだろ!

しかし…大将に認めてもらうにはやるしかない

「じゃあ佑くんから!」

佑は深く息を吸い、そして大声で掛け声を出した

この時点でなんとなく負けを察していた

しかし……負けてられない!

もちうる最大の声を出して掛け声を出した

尚結果は惨敗した…

それでも数人、良かったと慰めてくれるやつがいてなんとか正気に戻った

その後なし崩し的に話は決まり、個人種目はリレーに出ることになった

又もや僕は絶望した

50m9秒台の奴をリレーに出すだと!?正気か!?

しかし嘆いても仕方ないため諦めて出場することにした

や、大和魂を見せてやる!

そう意気込んでリレーの練習に参加した

前の奴の走順4番目で、僕にはある程度差がついた状態でバトンが届く

僕の役目は追い抜くでも後ろとの距離を稼ぐでもなく、自分と敵との間を保つこと!

まあ一番でくることなんてないだろう…と構えていたら

まさかの1番目、しかも他のやつと差がある状態でバトンが渡った

どんな追い抜き見せてんだよ!?  

我が校には4組しかない、つまり四番手は最下位

それにもかかわらず追い抜いて一番に躍り出ているのだ

小学生は練習であろうと本気

追い抜かれたらやばい、終わる

そう思い全力で走った

なんとか距離を狭められずに済んだが……

本当にこんな調子で大丈夫だろうか……
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