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第1章 異世界でレベリング
第1.5話 日常はいつも通りではなく
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私は、1人で食卓につくと、テレビのリモコンを手に取り、無造作に電源をつける。
「えー、続いては朝のニュースです。」
テレビの先に映るニュースキャスターが、そう言うと、画面右側にニュースの見出しが並ぶ。もちろん、最初に出ていたのは・・・
「白昼堂々、通り魔出没。」
と書かれた、昨日の出来事だった。未だに現実だと捉えきれていない、新鮮な記憶が徐々によみがえる。
「昨日、午後4時ごろ、C県N市で通り魔事件が起きました。犯人は周辺の男性に取り押さえられましたが、男子高校生1名が亡くなりました。今、現場に中継が繋がっております。」
画面は、事件が発生した通学路の大通りに変わる。
「えー、こちらが事件が発生した、N市の大通りです。現場周辺には商店街もあり、事件発生時は人が多くいたそうです。当時、現場にいた女性に話を聞くと、
『いきなり悲鳴が上がったので、何事かと思って振り向いた。ナイフを持っている男に、男子高校生が体当たりしていたので驚いた。』
と、言っていました。」
昨日の出来事は、ついさっきの事のように鮮明だ。そのままニュースを見る気も失せ、静かにテレビを消した。
やりようの無い罪悪感が、胸の内にわだかまる。
◇
「非常に残念なことだが、昨日、クラスメートである潮ヶ浜 湊港君が亡くなった。」
ニュースでも大きく取り上げられていたため、みんなはすでに知っているようだった。
クラス内の雰囲気は沈静化していて、いつもはしゃいでいる峯が丘さんも静かだった。
「告別式は明日行われるが、今日行われるお通夜にも2、3人なら出ていいらしい。潮ヶ浜と仲の良かった人や、親族の方に会って話をしたい人はホームルームの後、俺の所に来い。」
担任の先生はそう言うと、おもむろに席に座った。
涙をすする音が聞こえてきたが、涙を流している多くの人は潮ヶ浜君としゃべったことが無い人だった。そのことに対し、なんとも言えないモヤモヤしたものが湧き出てきたが、罪悪感がそれを消す。この罪悪感は、性質が悪い。
誰も一言も話さない時間は、長いようで短かった。
チャイムが鳴り、ホームルームが終わると、私はすぐに席を立ち担任の元に向かう。
「先生、お通夜に行ってもいいですか?」
思い切ってそう言うと、先生は困った顔をした。
「いいのは良いんだが・・・・。」
「早乙女、罪悪感に押しつぶされそうなんだろ。だから、お通夜に出て、必死に謝って懺悔したいんだろ。」
完璧に図星をさされ、言葉に詰まる。
「そんな理由で行くn
「わ、私の・・です。潮ヶ浜君が亡くなったのは私のせいなんですよ。」
「そうだな。」
耐えきれずに言った私の言葉を、先生はありえないほどあっさりと肯定した。
「そう捉えることもできる。しかし、もう事後の事だし、1番悪いのは犯人だ。そして、2番目に悪いのは潮ヶ浜本人。自分の命を粗末に扱ったからだ。最後に、3番目に悪いのは、」
ゆっくりと私を指さす。
「お前だ、早乙女 春夏。何でも1人で抱え込みすぎだ。そして、被害者が加害者面するな。犯人も驚きだよ。」
加害者面?
自分ではそんなことしているつもりは無かった。しかし、自分のせいだと負い目を抱いていたのは確かだ。
「潮ヶ浜の分もしっかり生きろよ。じゃあ、親族の方に連絡しとくから。」
私が何か口を挟む間もなく、先生は教室のそとに出てしまった。
「潮ヶ浜君の分まで生きる・・・・」
先生の言葉を反芻した。その呟きは徐々に平常を取り戻しつつある教室の雑踏に吸い込まれるように消えた。
…
「まぁ、あいつの家庭事情も色々とあるんだけどな。」
小さな呟きは、誰にも聞かれることは無かった。
◇ 時を同じくしてイロアスがいる世界
「へ、へくしょん。・・・はっくしょん。」
なんだ?花粉症か?あれ、なんか2回のくしゃみって噂されているんだっけ?
死んでこっち来てから10日になっているのに今更何を噂しているんだ?
「どうした、イロアス。」
修行中だったので、じいちゃんから心配される。
「いや、ちょっとね。」
「えー、続いては朝のニュースです。」
テレビの先に映るニュースキャスターが、そう言うと、画面右側にニュースの見出しが並ぶ。もちろん、最初に出ていたのは・・・
「白昼堂々、通り魔出没。」
と書かれた、昨日の出来事だった。未だに現実だと捉えきれていない、新鮮な記憶が徐々によみがえる。
「昨日、午後4時ごろ、C県N市で通り魔事件が起きました。犯人は周辺の男性に取り押さえられましたが、男子高校生1名が亡くなりました。今、現場に中継が繋がっております。」
画面は、事件が発生した通学路の大通りに変わる。
「えー、こちらが事件が発生した、N市の大通りです。現場周辺には商店街もあり、事件発生時は人が多くいたそうです。当時、現場にいた女性に話を聞くと、
『いきなり悲鳴が上がったので、何事かと思って振り向いた。ナイフを持っている男に、男子高校生が体当たりしていたので驚いた。』
と、言っていました。」
昨日の出来事は、ついさっきの事のように鮮明だ。そのままニュースを見る気も失せ、静かにテレビを消した。
やりようの無い罪悪感が、胸の内にわだかまる。
◇
「非常に残念なことだが、昨日、クラスメートである潮ヶ浜 湊港君が亡くなった。」
ニュースでも大きく取り上げられていたため、みんなはすでに知っているようだった。
クラス内の雰囲気は沈静化していて、いつもはしゃいでいる峯が丘さんも静かだった。
「告別式は明日行われるが、今日行われるお通夜にも2、3人なら出ていいらしい。潮ヶ浜と仲の良かった人や、親族の方に会って話をしたい人はホームルームの後、俺の所に来い。」
担任の先生はそう言うと、おもむろに席に座った。
涙をすする音が聞こえてきたが、涙を流している多くの人は潮ヶ浜君としゃべったことが無い人だった。そのことに対し、なんとも言えないモヤモヤしたものが湧き出てきたが、罪悪感がそれを消す。この罪悪感は、性質が悪い。
誰も一言も話さない時間は、長いようで短かった。
チャイムが鳴り、ホームルームが終わると、私はすぐに席を立ち担任の元に向かう。
「先生、お通夜に行ってもいいですか?」
思い切ってそう言うと、先生は困った顔をした。
「いいのは良いんだが・・・・。」
「早乙女、罪悪感に押しつぶされそうなんだろ。だから、お通夜に出て、必死に謝って懺悔したいんだろ。」
完璧に図星をさされ、言葉に詰まる。
「そんな理由で行くn
「わ、私の・・です。潮ヶ浜君が亡くなったのは私のせいなんですよ。」
「そうだな。」
耐えきれずに言った私の言葉を、先生はありえないほどあっさりと肯定した。
「そう捉えることもできる。しかし、もう事後の事だし、1番悪いのは犯人だ。そして、2番目に悪いのは潮ヶ浜本人。自分の命を粗末に扱ったからだ。最後に、3番目に悪いのは、」
ゆっくりと私を指さす。
「お前だ、早乙女 春夏。何でも1人で抱え込みすぎだ。そして、被害者が加害者面するな。犯人も驚きだよ。」
加害者面?
自分ではそんなことしているつもりは無かった。しかし、自分のせいだと負い目を抱いていたのは確かだ。
「潮ヶ浜の分もしっかり生きろよ。じゃあ、親族の方に連絡しとくから。」
私が何か口を挟む間もなく、先生は教室のそとに出てしまった。
「潮ヶ浜君の分まで生きる・・・・」
先生の言葉を反芻した。その呟きは徐々に平常を取り戻しつつある教室の雑踏に吸い込まれるように消えた。
…
「まぁ、あいつの家庭事情も色々とあるんだけどな。」
小さな呟きは、誰にも聞かれることは無かった。
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「へ、へくしょん。・・・はっくしょん。」
なんだ?花粉症か?あれ、なんか2回のくしゃみって噂されているんだっけ?
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修行中だったので、じいちゃんから心配される。
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