終焉のオルフェウス

太陽@ろい

文字の大きさ
6 / 6
第1章

動き出す歯車

しおりを挟む
俺らは2人と別れた後バス停に向かって歩いていた



「あ、そう言えば恭くんさ、駅前のお店でしょ?そこって」




「ん?そうだがなんかあるのか?」




「駅前のお店だったらさ、その帰りにおじいさんのとこ寄っていったら?」




「お、遥にしてはまともな意見だな」




「も~また馬鹿にして~」



と、たわいない話をしながらバス停へ着いたとこで丁度バスが来た
学園前のバス亭から俺の家まではバスで20分、更に駅前のバス亭までは30分はかかる。
そしてそこから俺のじいちゃん
神代智明かみしろともあきが入院している病院まで駅前から別のバスで10分圏内なのでまぁ遠いと言えば遠いが入学式で早帰りなため、かなり時間に余裕がある
とは言え遥に脅しも同然な約束を結ばされているからまぁ家に帰るのは遅くなるだろう




「なぁ遥には頼みがあんだけどさ、店着いたら母さんと唯にもケーキ買おうと思うから悪いが買ったやつ俺ん家に届けてくんねーか?」




「え~自分で届けなよ~と言いたいとこだけどおじいちゃんのとこ行くならしかたないかー!そ・の・か・わ・り!私にも買ってね♪」




「まてまてまて、お前今から行って食うんだろ?買う必要ねーじゃねーか!」




「ある!」




「どこにだよ!?」





「え?おつかいでしょ?パシられてやるから、それくらいいいでしょ♪」





「俺のお財布事情も考えてくれよ......」





とりあえずバスに乗った俺らは今から行くケーキ屋『ブルームーン』の話をしていた




「あー悪いが俺は駅前に着くまで少し寝るからな。絶対起こすなよ?」





「それは起こしてっていうフリかな?フリなのかな?なーんてね着く頃には起すからねてなよ恭くん。実はあまり寝てないんでしょ?」




「いやまぁ......な。寝たことには寝たんだがな」




遥には今朝の夢の話は一切していない
というよりあの地獄絵図とも言える夢を話す訳にはいかない
なんだかんだ世話焼きだし、優しいこいつの事だ
きっと心配させるから話せない
小学校の時もちょっとかすり傷を作っただけで包帯でぐるぐる巻だもんな



「な~んか恭くん変なこと考えてるでしょ~?」




「なんでもいいからとりあえず俺は寝る」




「はいはい。おやすみ恭くん」




とバスの中にも関わらずあっさりと俺の意識は刈り取られるようにして眠りに落ちた




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






その頃ある一室での会話を聞いていたものがいた





「ふーんそれで?うまく結界も発動するのは確認したのよね?」





「モちロンで...ス。ケっかいが起動スレば外からのシんにゅウは...むずカしいかと」




「あら。随分言葉を話せる様になったわね?何人殺したのかしら?」




ふふっと妖艶な笑みで笑う女性に
人...ではないものが答えた




「数えテ...ない。けどイっぱいコロして食ったからここまでせいチョウ出来た」



「まぁいいわ。それよりも場所は間違えなく月寺駅でいいのよね?」




「アあ...問題ない。そこでキドうする」




「あっはは♪ならいいわ。今日は沢山人間を殺しましょ?」



狂気に歪むその顔は化物そのものだった。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




またあの夢だ......。
本当に最近はよく見るようになった。
どこかもわからない場所で
泣き叫ぶのは俺ひとり
他のやつはみんな死んでる...



『た......て』




まただ...声が聞こえる
また?俺はどこかでこの声を聞いたことが有るのだろうか



『たす......。だれ...』



ああ、そうかこれは俺の声だ
でも俺の声じゃない



(さぁ.........。き......憎し...が......を壊す時が............)





「恭くん!恭くんってば!!」




「んん?あれ?俺、爆睡してた?」




「んもぉ~!ずっと呼んでるのに全然起きないんだもん」



「あー悪いな苦労掛けて」




「それより恭くん泣いてるの?」




「は?泣いてなんか......」



と頬を伝う冷たい感覚があった
それを拭うと確かに涙だった




「.....................」




「恭くんどこか具合いがわるいの?それとも変な夢見た?大丈夫?」




夢......か
やっぱこいつは心配するんだろーな。





「あーすっごく嫌な夢を見たぞ?それはそれは嫌だし怖い夢だった」



「どんな夢?」



「妖怪がでてくるんだがな?こいつがスイーツを奢れぇぇさもなくば恥ずかしい秘密をみんなにバラすぞぉぉいいのかーって襲って来るとても恐ろしい夢だった」



「へーすっごく怖いね。秘密をバラされるのかぁ。しかもスイーツを奢れってどんな妖怪なんだろーね?」



と言ってきたので携帯を取り出してカメラにし、インカメにしてから妖怪本人に渡してやった



「え、なに?いきなり携帯なんか渡してきて......ってカメラじゃん!あ、なに私の写真が欲しいの?」




「ないわ。お前の写真とかありえねーわ」




「じゃあなんでよ?」




「生憎と鏡は持ってなくてな」




「鏡?何に使うのよ?」



こういう時だけ鈍感スキルが発動するって
ホントご都合人間で残念だわ......。




「どーゆー妖怪か気になってただろ?」





「それは私って言いたいわけ?」




すると遥に渡した携帯からミシっと嫌な音がした。




「ちょ、ちょっと待て遥!冗談だ!!分かるだろ?俺が冗談好きなの!?」




「なーんだ冗談かぁ」





このバ怪力おんn...



ミシ...ミシミシ...パキ




「おい!遥!?」





「んー?なんかバカにされた気がしてさー?気のせいかなぁ??」




鈍感スキルどこ行ったの?遥さんや...。




「ってそれより次で着くよ恭くん!だから起こしてたの!」





「ああ、さんきゅーな遥」




「いきなり素直にお礼言われると調子狂うなぁ」




と悪戯っぽく笑う彼女はどこか切なそうに見えた




『次は月寺駅前公園。月寺駅前公園でございます。お降りの方は.........』





そう遥と会話しているともう着くようだ




「パフェ!パフェ!!パフェ♪」




ホントこういう所はまだ子供なんだよな
まぁ見ていて飽きないが
そしてバス停で降りて少し歩いて
『ブルームーン』に入って注文をとった
まぁ結果から話そう
パフェを結局、5個も食いやがった
しかもここの店で1番でかいパフェを...。



「妖怪......」




「何か言った?」




「いえ、なんにも」



この時の遥の笑顔は妖怪の顔より正直怖かった。





「最高だったーー!あのパフェ!ボリュームもそうだけど味も濃厚で、でもくどくなくてクリームの舌触りも.........」





「いきなり食レポすんなよ」




「え?必要でしょ?あの美味しさを伝えることは絶対必要!」




「いや、誰に伝えんだよ?」



「誰ってそりゃ......誰だろ?」





「もういい。疲れた」




「あ、それよりこんな時間になっちゃったけど病院の面会時間大丈夫?」



そう、時刻は18時ちょい前くらいなのだ
ちなみに俺らが店に入ったのは16時過ぎだ
なぜ、2時間も居たのかって?
聞くまでもないだろ?





「まぁどっかの誰かさんが食べまくったせいでこんな時間なわけだし、お持ち帰り用のデザートお前、1個だけな」




「そ、そんな......。ごめん恭くん!謝るから!だから私からパフェを奪わないで!!」





この俺が悪者的な立ち位置になってるのは気のせいなのか?
気のせいじゃないのな?




「なぁその俺を貶めようとするのやめない?」



「あーバレた?」




「分かったからとりあえず唯と母さんは2個ずつ。お前も2個でいい」




「やったぁ恭くん神様♪」




スイーツ2個で神様扱いの俺って
こいつ怒らせた時はとりあえずスイーツで釣ればどうにかなるな





「なんか失礼なこと考えてる?まぁ今は機嫌がいいから許す~♪」




と俺らは雑談をしながらバス停に向かう




「んじゃ土産宜しくな」




「あいあいさー♪んじゃ恭くんまた明日ね!」




そう言って遥はバスに乗って帰っていった




「結局こんな時間になっちまったか」




現時刻は19時になろうとしていた
普通の町医者がやっている様な病院なら面会時間をとっくに過ぎてるが
ここの新都市の病院は夜遅くまで面会も可能だ
その中でも月寺総合病院はこの日本有数の世界にも認められる大病院だ





「バスが来るまで10分...。ここで待つか」



俺がベンチに腰掛けると見知った姿を見かけた






「ん?あの子って確か...そうだ間違いない。俺と同じクラスの藤宮ふじみやさんだ」



あの特徴的なリボンを忘れるわけがない
それに昼間に見た変な黒い人形みたいなものがついてたのも彼女だ
俺はどうしてかは自分でも分からないが
彼女を追いかけた。




しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

型抜久遠
2016.06.21 型抜久遠

なかなかテンポ良いと思います(^-^)

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

合成師

あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。