妖言惑衆

奏琉

文字の大きさ
15 / 15

しおりを挟む
目の前に突如現れた鳥居。
鳥居のしたには、たくさんの赤い彼岸花。
それを見て、今日がお彼岸だったことを思い出す。

たしか、赤い彼岸花の花言葉は悲しい思い出。

引き返すことも考えたが、私には引き返したところで元の道に戻れるとは思えなかった。
その為、選択肢は自ずと先に進むの一択になる。
私は、恐る恐るといった様子で鳥居の方に向かって歩き出す。
真っ赤な鳥居を幾本かくぐり抜けると、何かが落ちているのが目に入った。

よく目を凝らしてみると狐の、、、お面?

そしてその近くには3輪の彼岸花。

狐面はかなりリアルに作られているようだ。

「誰かの落し物かな?この先に進めば誰かいるかもしれないし、持っていってみよう。」

もともと私は正義感が強い性格らしい。
そのこともあってか、落ちている狐面を見過ごすことができなかった。

どうせ、もう引き返すことはできない。




私は、狐面の持ち主を見つけたいのではなくてきっと、誰でもいいから人を見つけたかったのかもしれない。
そして、安心が欲しかった。
この人の気配のない不可解な場所に独りではないという安心が。

それにしてもこのお面はかなりリアルだ。

まるで今にも、瞬きをしそうな。

そこまで考え、ゾワッと鳥肌がたつ。
たかがお面に何をこんなに怯えることがあるのか。
バカバカしい、と笑い飛ばすことができたらどんなにいいだろうか。
いきなり現れた鳥居といい、変わることのない町並みといい、狐面に寄り添うように咲いた彼岸花といい偶然というよりも必然だったのではないかと無駄に勘ぐってしまう。

私は、そんな思いを振り切るかのように足早に鳥居の先に向かってまた歩き始めた。





次号に続く


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

私は逃げ出すことにした

頭フェアリータイプ
ファンタジー
天涯孤独の身の上の少女は嫌いな男から逃げ出した。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

裏切者には神罰を

夜桜
恋愛
 幸せな生活は途端に終わりを告げた。  辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。  けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。  あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

処理中です...