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恋が下手な俺が失恋する話。 亮介side
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それから数日間、お互いに仕事が忙しくて、すれ違いの日々が続いた。
朝、目覚める頃には真那はもう出勤していて、夜……俺が帰宅する頃には真那は既に寝室で眠っている。
会話らしい会話は、もう何日もしていなかった。
仲直りしたかった。
本当は、ちゃんと謝りたかった。
あの日、真那に当たったこと。
冷たく突き放したこと。
でも、切り出すタイミングは見つからなかった。
今日こそは……そう思った矢先、飛び込みで出張が入った。
「出張で週末まで帰れないから。」
心配すると思ってそうメールした。
けれど真那からの返信は「わかった。」の一言だけ。
あんまりじゃないか?
こんなに喧嘩が長引いたのははじめてだ。
素直な真那は、いつもその日のうちに「ごめんね。」って謝ってくれたし、その一言に「いいよもう。」って返事をすれば、いつもどうりの関係に戻れたのに。
謝罪の言葉が、喉の奥で引っかかったまま出てこないまま、数日間家を空けることになった。
出張先のホテルに着くと、真那からメールが来ているはずだと期待したけれど、何もない。
かと言って、ここまでくるともう、自分から謝るのは負けな気がしてくる。もやもやが積もって生き埋めになりそうだ。
そうしているうちに、また一日が過ぎていった。
週末、サプライズで夜景の見えるホテルを予約している。そこでプロポーズする予定だ。
鞄の中には老舗ブランドの指輪。あの有名なダイヤの指輪を買うのに数か月ダブルワーク……。ハッキリ言って、めちゃくちゃ頑張ったんだけど。気に入らないわけがない。金額を見て発狂しそうになりながら購入を決めた俺を褒めて欲しい。
でも、このぎくしゃくした関係のまま、プロポーズなんてできるはずがない。
その前に、仲直りしないと……
「明日、大事な話があるんだけど時間作って。」
期待した俺に届いた返信は期待と真逆。
「土曜、休日出勤なの。」
でも、ここで食い下がるわけにはいかなかった。
「じゃあ、昼にファミレスでいい?」
「うん。分かった」
喧嘩した日から何日も経っているのに、まだ怒ってる真那に苛立ちを感じた。
***
土曜の昼。
約束のファミレスに着くと、真那は既に席に座っていた。
窓際の席。真那はメニューを眺めていたが、俺の姿に気づくと気まずそうに視線をテーブルに落とした。
笑顔はなかった。
「お疲れさま」
「ああ、うん」
向かいの席に座って彼女の目をまっすぐに見つめる。
真那は少し緊張した面持ちで、俺を見ていた。
何から話せばいいのか。
言葉を探しているうちに、店員が注文したラテを運んできた。
真那はテーブルの上で手を組んで、じっとそれを見つめていた。
謝りに来たのに。仲直りしに来たのに。
どうしても謝る雰囲気じゃない……
胸の奥が、またざらついてきた。
「……あの」
真那が口を開きかけた、その瞬間。
俺の口が勝手に動いた。
「俺たち、別れよっか」
朝、目覚める頃には真那はもう出勤していて、夜……俺が帰宅する頃には真那は既に寝室で眠っている。
会話らしい会話は、もう何日もしていなかった。
仲直りしたかった。
本当は、ちゃんと謝りたかった。
あの日、真那に当たったこと。
冷たく突き放したこと。
でも、切り出すタイミングは見つからなかった。
今日こそは……そう思った矢先、飛び込みで出張が入った。
「出張で週末まで帰れないから。」
心配すると思ってそうメールした。
けれど真那からの返信は「わかった。」の一言だけ。
あんまりじゃないか?
こんなに喧嘩が長引いたのははじめてだ。
素直な真那は、いつもその日のうちに「ごめんね。」って謝ってくれたし、その一言に「いいよもう。」って返事をすれば、いつもどうりの関係に戻れたのに。
謝罪の言葉が、喉の奥で引っかかったまま出てこないまま、数日間家を空けることになった。
出張先のホテルに着くと、真那からメールが来ているはずだと期待したけれど、何もない。
かと言って、ここまでくるともう、自分から謝るのは負けな気がしてくる。もやもやが積もって生き埋めになりそうだ。
そうしているうちに、また一日が過ぎていった。
週末、サプライズで夜景の見えるホテルを予約している。そこでプロポーズする予定だ。
鞄の中には老舗ブランドの指輪。あの有名なダイヤの指輪を買うのに数か月ダブルワーク……。ハッキリ言って、めちゃくちゃ頑張ったんだけど。気に入らないわけがない。金額を見て発狂しそうになりながら購入を決めた俺を褒めて欲しい。
でも、このぎくしゃくした関係のまま、プロポーズなんてできるはずがない。
その前に、仲直りしないと……
「明日、大事な話があるんだけど時間作って。」
期待した俺に届いた返信は期待と真逆。
「土曜、休日出勤なの。」
でも、ここで食い下がるわけにはいかなかった。
「じゃあ、昼にファミレスでいい?」
「うん。分かった」
喧嘩した日から何日も経っているのに、まだ怒ってる真那に苛立ちを感じた。
***
土曜の昼。
約束のファミレスに着くと、真那は既に席に座っていた。
窓際の席。真那はメニューを眺めていたが、俺の姿に気づくと気まずそうに視線をテーブルに落とした。
笑顔はなかった。
「お疲れさま」
「ああ、うん」
向かいの席に座って彼女の目をまっすぐに見つめる。
真那は少し緊張した面持ちで、俺を見ていた。
何から話せばいいのか。
言葉を探しているうちに、店員が注文したラテを運んできた。
真那はテーブルの上で手を組んで、じっとそれを見つめていた。
謝りに来たのに。仲直りしに来たのに。
どうしても謝る雰囲気じゃない……
胸の奥が、またざらついてきた。
「……あの」
真那が口を開きかけた、その瞬間。
俺の口が勝手に動いた。
「俺たち、別れよっか」
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