三国志～どうして俺が玄徳に！？～

プロローグ どうしてこうなった

　俺こと北条琥太郎　高校三年生の頭の中は、その一言に支配されている。
　つい数時間前まで俺は、一年間ために貯めたバイト代で、自由気ままな中国一人旅をしていたはずだ。
　はずだったのだ。
　だが、辺りにに目をやるとどうだろう？
　死屍累々。
　一面に血の海が広がり、そこに無数の死体が無造作に転がっていた。
　さらに、俺が着ている服は血に染まっており、肩からは今なおー止まりかかっているがー血が流れている。
　死ぬほど痛い。生まれてからこの方およそ味わった痛みの中で一位二位を争うレベルだ。
　そもそも、普通に生活していたら刺されることなどないので当たり前なのだが。

　そして、長槍を携えた少女が二人。これまた血まみれな装いでーー俺と違って彼女らは返り血だがーーが立っていた。何を隠そう、目の前の少女達こそがこの地獄を作り上げた張本人達だ。
「玄徳様！大丈夫ですか！」
「玄徳の兄者！死なないでくれ！」
　そしてこの二人の少女は俺をのことを他人の名前で呼び、心配している。
　まぁ、その原因は俺にあるのだが
　あぁ、本当に.......どうしてこうなった。
　俺は薄れゆく意識の中で事の顛末を走馬灯のように思い出していた。
　事の始まりは一週間.......いや、一時間ほど前に遡る。