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第1章
クールな彼は許嫁!?①
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この日、まさか私の人生が大きく変わるなんて、夢にも思っていなかった。
中学2年生になって最初の週末。家の近所のカフェで、私、澄野星奈は、お父さんが口を開くのをただただ待っていた。
九州に単身赴任中のお父さんが、『大事な話がある』って言ってわざわざこっちに帰ってきたんだけど……よほど重要なことなのだろうか。
「ねぇ、お父さん。話って何?」
私はアイスココアを飲みながら、隣のお父さんに尋ねる。
「ああ、そのことなんだけど……」
また黙り込んでしまったお父さんは、いつもよりなんだか神妙な顔つきで。なんとなく嫌な予感がした。
「あのな、星奈。実は、星奈には……将来結婚の約束をした許嫁がいるんだよ」
「ぶはっ!?」
お父さんからいきなりそんなことを言われた私は、飲んでいたアイスココアを盛大に吹き出しそうになってしまう。
「は!? え? い、許嫁!?」
「ああ」
「お父さんったら、いきなり何を言い出すの!? 変な冗談はやめてよ」
「冗談なんかじゃない。許嫁って言っても、星奈もよく知ってる人だから」
知ってる人って……まさか、学校の友達? それとも親戚かな?
私が頭の中で知り合いの顔を並べた、そのときだった。
「あっ、噂をすれば来た来た。おーい、朝陽! 陽向!」
お父さんが席を立ち、こっちこっちと笑顔で手招きをしている。その相手の顔を見た瞬間、私は大きく目を見開いた。
えっ、うそ……陽向!?
ブスっとした顔でこちらへとやって来たのは、中学の同級生でただいま絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向だったから。
「こんにちは、星奈ちゃん」
私とお父さんの向かいの席に座った、一之瀬朝陽さんがにこやかに声をかけてくれる。
朝陽おじさんは私のお父さんの高校時代からの親友で、あの“一之瀬グループ”の社長さんだ。
元々は、陽向のおじいさんが小さな会社を営んでいたらしいのだけど、朝陽おじさんが社長になってから、会社はぐんぐん急成長。今となっては、日本中の誰もが知る大企業になった。
陽向は、そんな大きな会社の跡取り息子。いわゆる御曹司なんだ。
「なあ、父さん。俺、帰って良い? 俺、こいつと話したくないんだけど」
陽向の言葉が、まるで氷の矢のように胸に突き刺さる。陽向は私とは、これっぽっちも話したくないんだ……そう思うと、ズキリと胸が痛んだ。
「そもそも、こいつが許嫁とかありえないから」
「う……」
陽向の口から発せられる冷たい言葉の数々に、私は強いダメージを受けた。
「まあまあ、そんなこと言わずに座れよ陽向。久しぶりに会えたんだし、おじさんと話そうよ」
私のお父さんに促され、陽向はしぶしぶといった様子で腰を下ろす。
「真宙、星奈ちゃん。うちのバカ息子が、失礼なことを言って悪い」
真宙とは、私のお父さんの名前だ。
「ほら陽向、二人に謝れよ」
「はあ? なんで俺が……何も悪いことしてねえだろ」
「なんだ、お前。中2になって早々、反抗期か!?」
目の前で言い合いを始めてしまった一之瀬親子に、私とお父さんは苦笑いする。
それにしても、陽向の顔をこんなに間近で見るのはいつぶりだろう。
サラサラの黒髪。くっきりとした二重に色素の薄い瞳。すっと鼻筋の通った高い鼻。
顔の全てのパーツが整っていて、テレビで最近よく観る大人気アイドルにも負けないくらい陽向はイケメンだと思う。
「……はぁ、最悪」
さっきから陽向の口からは、ため息混じりのマイナスな言葉しか出てきていない。
私って、そんなに嫌われてるのかな? いや、嫌われてるよね。
だって昔、あんなことがあったんだから。
中学2年生になって最初の週末。家の近所のカフェで、私、澄野星奈は、お父さんが口を開くのをただただ待っていた。
九州に単身赴任中のお父さんが、『大事な話がある』って言ってわざわざこっちに帰ってきたんだけど……よほど重要なことなのだろうか。
「ねぇ、お父さん。話って何?」
私はアイスココアを飲みながら、隣のお父さんに尋ねる。
「ああ、そのことなんだけど……」
また黙り込んでしまったお父さんは、いつもよりなんだか神妙な顔つきで。なんとなく嫌な予感がした。
「あのな、星奈。実は、星奈には……将来結婚の約束をした許嫁がいるんだよ」
「ぶはっ!?」
お父さんからいきなりそんなことを言われた私は、飲んでいたアイスココアを盛大に吹き出しそうになってしまう。
「は!? え? い、許嫁!?」
「ああ」
「お父さんったら、いきなり何を言い出すの!? 変な冗談はやめてよ」
「冗談なんかじゃない。許嫁って言っても、星奈もよく知ってる人だから」
知ってる人って……まさか、学校の友達? それとも親戚かな?
私が頭の中で知り合いの顔を並べた、そのときだった。
「あっ、噂をすれば来た来た。おーい、朝陽! 陽向!」
お父さんが席を立ち、こっちこっちと笑顔で手招きをしている。その相手の顔を見た瞬間、私は大きく目を見開いた。
えっ、うそ……陽向!?
ブスっとした顔でこちらへとやって来たのは、中学の同級生でただいま絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向だったから。
「こんにちは、星奈ちゃん」
私とお父さんの向かいの席に座った、一之瀬朝陽さんがにこやかに声をかけてくれる。
朝陽おじさんは私のお父さんの高校時代からの親友で、あの“一之瀬グループ”の社長さんだ。
元々は、陽向のおじいさんが小さな会社を営んでいたらしいのだけど、朝陽おじさんが社長になってから、会社はぐんぐん急成長。今となっては、日本中の誰もが知る大企業になった。
陽向は、そんな大きな会社の跡取り息子。いわゆる御曹司なんだ。
「なあ、父さん。俺、帰って良い? 俺、こいつと話したくないんだけど」
陽向の言葉が、まるで氷の矢のように胸に突き刺さる。陽向は私とは、これっぽっちも話したくないんだ……そう思うと、ズキリと胸が痛んだ。
「そもそも、こいつが許嫁とかありえないから」
「う……」
陽向の口から発せられる冷たい言葉の数々に、私は強いダメージを受けた。
「まあまあ、そんなこと言わずに座れよ陽向。久しぶりに会えたんだし、おじさんと話そうよ」
私のお父さんに促され、陽向はしぶしぶといった様子で腰を下ろす。
「真宙、星奈ちゃん。うちのバカ息子が、失礼なことを言って悪い」
真宙とは、私のお父さんの名前だ。
「ほら陽向、二人に謝れよ」
「はあ? なんで俺が……何も悪いことしてねえだろ」
「なんだ、お前。中2になって早々、反抗期か!?」
目の前で言い合いを始めてしまった一之瀬親子に、私とお父さんは苦笑いする。
それにしても、陽向の顔をこんなに間近で見るのはいつぶりだろう。
サラサラの黒髪。くっきりとした二重に色素の薄い瞳。すっと鼻筋の通った高い鼻。
顔の全てのパーツが整っていて、テレビで最近よく観る大人気アイドルにも負けないくらい陽向はイケメンだと思う。
「……はぁ、最悪」
さっきから陽向の口からは、ため息混じりのマイナスな言葉しか出てきていない。
私って、そんなに嫌われてるのかな? いや、嫌われてるよね。
だって昔、あんなことがあったんだから。
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