隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい

藤永ゆいか

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第1章

私の過去①

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「あーあ、どこかに王子様、落ちてないかなぁ……」

中学生になったら恋をして、人生初の彼氏を作る!

そう意気込んでいた私、羽生はぶ 菜乃花なのかは、あっという間に中学1年生の春休みを迎えていた。

結局、彼氏どころか、男の子の友達すらいないまま。

私は今、3歳年上のいとこで高校1年生の風音かざねちゃんと一緒に、ショッピングモールに来ている。

映画を観たあとクレープを食べようという話になり、二人でお店に向かって歩いているところだ。

「ふふっ。どこかに王子様が落ちてないかなって。菜乃花ったら、ドラマや漫画の見すぎだよ~」
「えー。でも、そういうのって憧れない?」
「まぁ、確かに憧れなくもないけど……ごめん、菜乃花。あたし、ちょっと電話出てくる!」
「分かった」

風音ちゃんが電話だと言ってその場を離れ、私がお店の前でひとりで待っていると。同世代くらいの金髪の男の人が、こちらに近づいてきた。

「君、可愛いね。もしひとりなら、俺と遊ばない?」

え。これって、もしかしてナンパ?!

「あ、あの。私、いとこを待ってるので……」

そう言うも、男の人に手首をガシッと掴まれてしまった。

「は、離して下さい!」
「ねえ。ちょっと、そこのカフェで話そうよ」

私が抵抗しても、男の人はぐっと手首を掴んだまま離してくれない。

どうしよう……。このままじゃ、本当にどこかに連れていかれちゃう!

必死で頭を巡らせた結果、私にできることは、やっぱりこれしかなくて――。

「離してって言ってるのが、聞こえないんですか!?」

やむを得ず、私は掴まれていないほうの手で、男の人の腕をぐっと掴んだ。そして、習い覚えた空手の型通りに、そのまま腕をねじ上げる。

「痛たたたたっ!」

金髪の人が顔を歪め、悲鳴をあげた。

「痛い、痛いって! おい、離せよ」
「あなたが手を離してくれたら、私も離します」
「分かった。分かったから!」

金髪の人が、ようやく私から手を離してくれた。

「なんだ、この女子! 怖ぇぇ」

私も彼から手を離すと、金髪の人は大慌てで駆けていった。

「ああ、しまった。またやっちゃった……」
「菜乃花!」

走っていく金髪の人の後ろ姿を呆然と見ていると、風音ちゃんが戻ってきた。

「ねぇ、何があったの?」
「実は……」

私は風音ちゃんに、今の出来事を話す。

「さっすが、菜乃花! ヨッ、空手の全国大会優勝経験者!」
「もう。風音ちゃんったら、からかわないでよ。そのせいで、今まで彼氏が出来なかったっていうのもきっとあるんだから。男の子がみんな、私に近づいて来ないんだもん」

風音ちゃんの言葉通り、私は小学6年生の頃に空手の全国大会で優勝したことがあるんだけど……。

私がこうなったのには、理由がある。
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