1 / 27
第1章
私の過去①
しおりを挟む
「あーあ、どこかに王子様、落ちてないかなぁ……」
中学生になったら恋をして、人生初の彼氏を作る!
そう意気込んでいた私、羽生 菜乃花は、あっという間に中学1年生の春休みを迎えていた。
結局、彼氏どころか、男の子の友達すらいないまま。
私は今、3歳年上のいとこで高校1年生の風音ちゃんと一緒に、ショッピングモールに来ている。
映画を観たあとクレープを食べようという話になり、二人でお店に向かって歩いているところだ。
「ふふっ。どこかに王子様が落ちてないかなって。菜乃花ったら、ドラマや漫画の見すぎだよ~」
「えー。でも、そういうのって憧れない?」
「まぁ、確かに憧れなくもないけど……ごめん、菜乃花。あたし、ちょっと電話出てくる!」
「分かった」
風音ちゃんが電話だと言ってその場を離れ、私がお店の前でひとりで待っていると。同世代くらいの金髪の男の人が、こちらに近づいてきた。
「君、可愛いね。もしひとりなら、俺と遊ばない?」
え。これって、もしかしてナンパ?!
「あ、あの。私、いとこを待ってるので……」
そう言うも、男の人に手首をガシッと掴まれてしまった。
「は、離して下さい!」
「ねえ。ちょっと、そこのカフェで話そうよ」
私が抵抗しても、男の人はぐっと手首を掴んだまま離してくれない。
どうしよう……。このままじゃ、本当にどこかに連れていかれちゃう!
必死で頭を巡らせた結果、私にできることは、やっぱりこれしかなくて――。
「離してって言ってるのが、聞こえないんですか!?」
やむを得ず、私は掴まれていないほうの手で、男の人の腕をぐっと掴んだ。そして、習い覚えた空手の型通りに、そのまま腕をねじ上げる。
「痛たたたたっ!」
金髪の人が顔を歪め、悲鳴をあげた。
「痛い、痛いって! おい、離せよ」
「あなたが手を離してくれたら、私も離します」
「分かった。分かったから!」
金髪の人が、ようやく私から手を離してくれた。
「なんだ、この女子! 怖ぇぇ」
私も彼から手を離すと、金髪の人は大慌てで駆けていった。
「ああ、しまった。またやっちゃった……」
「菜乃花!」
走っていく金髪の人の後ろ姿を呆然と見ていると、風音ちゃんが戻ってきた。
「ねぇ、何があったの?」
「実は……」
私は風音ちゃんに、今の出来事を話す。
「さっすが、菜乃花! ヨッ、空手の全国大会優勝経験者!」
「もう。風音ちゃんったら、からかわないでよ。そのせいで、今まで彼氏が出来なかったっていうのもきっとあるんだから。男の子がみんな、私に近づいて来ないんだもん」
風音ちゃんの言葉通り、私は小学6年生の頃に空手の全国大会で優勝したことがあるんだけど……。
私がこうなったのには、理由がある。
中学生になったら恋をして、人生初の彼氏を作る!
そう意気込んでいた私、羽生 菜乃花は、あっという間に中学1年生の春休みを迎えていた。
結局、彼氏どころか、男の子の友達すらいないまま。
私は今、3歳年上のいとこで高校1年生の風音ちゃんと一緒に、ショッピングモールに来ている。
映画を観たあとクレープを食べようという話になり、二人でお店に向かって歩いているところだ。
「ふふっ。どこかに王子様が落ちてないかなって。菜乃花ったら、ドラマや漫画の見すぎだよ~」
「えー。でも、そういうのって憧れない?」
「まぁ、確かに憧れなくもないけど……ごめん、菜乃花。あたし、ちょっと電話出てくる!」
「分かった」
風音ちゃんが電話だと言ってその場を離れ、私がお店の前でひとりで待っていると。同世代くらいの金髪の男の人が、こちらに近づいてきた。
「君、可愛いね。もしひとりなら、俺と遊ばない?」
え。これって、もしかしてナンパ?!
「あ、あの。私、いとこを待ってるので……」
そう言うも、男の人に手首をガシッと掴まれてしまった。
「は、離して下さい!」
「ねえ。ちょっと、そこのカフェで話そうよ」
私が抵抗しても、男の人はぐっと手首を掴んだまま離してくれない。
どうしよう……。このままじゃ、本当にどこかに連れていかれちゃう!
必死で頭を巡らせた結果、私にできることは、やっぱりこれしかなくて――。
「離してって言ってるのが、聞こえないんですか!?」
やむを得ず、私は掴まれていないほうの手で、男の人の腕をぐっと掴んだ。そして、習い覚えた空手の型通りに、そのまま腕をねじ上げる。
「痛たたたたっ!」
金髪の人が顔を歪め、悲鳴をあげた。
「痛い、痛いって! おい、離せよ」
「あなたが手を離してくれたら、私も離します」
「分かった。分かったから!」
金髪の人が、ようやく私から手を離してくれた。
「なんだ、この女子! 怖ぇぇ」
私も彼から手を離すと、金髪の人は大慌てで駆けていった。
「ああ、しまった。またやっちゃった……」
「菜乃花!」
走っていく金髪の人の後ろ姿を呆然と見ていると、風音ちゃんが戻ってきた。
「ねぇ、何があったの?」
「実は……」
私は風音ちゃんに、今の出来事を話す。
「さっすが、菜乃花! ヨッ、空手の全国大会優勝経験者!」
「もう。風音ちゃんったら、からかわないでよ。そのせいで、今まで彼氏が出来なかったっていうのもきっとあるんだから。男の子がみんな、私に近づいて来ないんだもん」
風音ちゃんの言葉通り、私は小学6年生の頃に空手の全国大会で優勝したことがあるんだけど……。
私がこうなったのには、理由がある。
11
あなたにおすすめの小説
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜
おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。
とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。
最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。
先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?
推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕!
※じれじれ?
※ヒーローは第2話から登場。
※5万字前後で完結予定。
※1日1話更新。
※noichigoさんに転載。
※ブザービートからはじまる恋
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
オバケの謎解きスタンプラリー
綾森れん
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞 奨励賞をいただきました! ありがとうございます!
――七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映るんだって。
小学六年生の結菜(ユイナ)が通う三日月(みかづき)小学校では、そんな噂がささやかれていた。
結菜は難関中学に合格するため、塾の夏期講習に通って勉強に励んでいる。
だが一方で、自分の将来にひそかな期待と不安をいだいてもいた。
知らない自分を知りたい結菜は、家族が留守にする夏休みのある夜、幼なじみの夏希(ナツキ)とともに七不思議めぐりを決意する。
苦労して夜の学校に忍び込んだ二人だが、出会うのは個性豊かなオバケたちばかり。
いまいち不真面目な二宮金次郎のブロンズ像から、二人はスタンプラリーの台紙を渡され、ルールを説明される。
「七不思議の謎を解けばスタンプがもらえる。順番に六つスタンプを集めて大階段の鏡のところへ持って行くと、君の知らない君自身が映し出されるんだ」
結菜と夏希はオバケたちの謎を解いて、スタンプを集められるのか?
そして大階段の鏡は二人に何を教えてくれるのか?
思春期に足を踏み入れたばかりの少女が、心の奥底に秘めた想いに気付いてゆく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる