寂寞のロボット戦闘団

タートライザー

文字の大きさ
1 / 4

あなたってほんと、レトロ

しおりを挟む
男女が川沿いの公園を歩いている。
女は20歳の東洋人。
男は女と同じ歳のアラブ系外国人だ。
二人は同じ大学に通っている。

「サレハと出会ったのもこんな冬の日だったね。」
女はサレハと呼ぶ男に、同意を求める様に話をふる。

「ああ、僕が留学してすぐの頃だったね。まだこの国の文化がわからなくて、困っていた時にアカネが声をかけてくれた。」

「厳ついのに優しい目をしていたから、子犬を拾うような感覚で話しかけただけよ。
それにしてもここは、サレハが私に告白をした場所じゃない。記念日はまだ先よ。」
アカネは笑いながら話す。

「今日は言わなくちゃいけない事がある。」
普段の優しい目から一転して険しい目をアカネに向けた。
サレハがこんな目をする事は滅多にない。アカネも真剣な顔でサレハを見つめる。

「来月、母国に帰る。志願して青年士官になるんだ。」

サレハの母国、ラフルクルアーンは前年に隣国と開戦した。
原因は国境油田の利権争奪戦だ。

「確かに今の戦争は自律型二足歩行兵器が使われるようになって死ぬリスクは減ったわ。でも虫の一匹も殺せないあなたが戦えるようにはみえない。それに海外在住者は徴兵義務が免除されているのに、リスクをとって志願する理由は何?」
穏やかな口調であるが、言葉の節に厳しさをもって問い詰める。

「僕の町が敵に攻撃された。家族と連絡も取れない、それに今のままじゃ力で押されて恐らく負けるだろう。結果は見えていても僕は後悔なく生きたいんだ。」
やけではなく、落ち着いた口調でサレハは話す。

アカネは缶コーヒーをひとすすりすると優しくこう言った。
「あなたはこうだってなると、テコでも動かないのはわかってるわ。だから止めない。その代わり約束して、危なくなったらすぐ逃げるって。」

「わかった、約束するよ。アカネと会えなくなるのは嫌だからね。」
サレハは優しい目に戻った。

「そうだ。あなたのお気に入りの N-JT を聴かせて」
N-JTはサレハがお気に入りのジャズミュージックだ。静かな曲調でありながら、どこか優しさを感じる、そんな音楽だ。
サレハはポケットから音楽プレーヤーを取り出す。

「ほんとにレトロな機械が好きなのね。今時、音楽は頭に埋め込んだ小型ICチップで聴けるのに。」

「アカネの国でいうところの 詫び寂び ってやつかな。」
サレハは冗談めかしながら有線イヤホンをアカネに差し出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

私の守護霊さん『ラクロス編』

Masa&G
キャラ文芸
本作は、本編『私の守護霊さん』の番外編です。 本編では描ききれなかった「ラクロス編」を、単独でも読める形でお届けします。番外編だけでも内容はわかりますが、本編を先に読んでいただくと、より物語に入り込みやすくなると思います。 「絶対にレギュラーを取って、東京代表に行きたい――」 そんな想いを胸に、宮司彩音は日々ラクロスの練習に明け暮れている。 同じポジションには、絶対的エースアタッカー・梶原真夏。埋まらない実力差に折れそうになる彩音のそばには、今日も無言の相棒・守護霊さんがいた。 守護霊さんの全力バックアップのもと、彩音の“レギュラー奪取&東京代表への挑戦”が始まる──。

処理中です...