1 / 1
本編
しおりを挟む
僕はなんのために生まれたんだろう。
たまに思う。
仲間達はどんどん買われていった。
ある者はまるでペットのように可愛がれ、ある者は掃除に沢山使って貰えて。
またある者は汚いもの扱いされ。
僕はどの人生を歩むんだろう。
期待と不安の中僕は生まれた。
今日は初めての「外」だった。
ついに僕を買ってくれる人を
外で待つ日が来たのだ。
この時をとても楽しみにしていた。
たくさんの試練を乗り越え。
仲間も失って。
それでも頑張ってここまで来た。
ー正直、緊張してないと言ったら嘘になるかもしれない。
だって、初めての外だ。
ずっと待ち望んでいた外だ。
僕はドキドキしながら買い手を待っていた。
今か今かとうずうずしていた。
ー数時間が経った。
相変わらず、僕はまだ待っている。
仲間達はどんどん買われて行った。
老人から先生らしき大人、子供。
皆が僕達を見て、僕以外を買っていった。
それを何度も見た僕は諦めかけていた。
何故か僕だけが選ばれないのだ。
仲間達は売れていくのに。
僕だけはここに残される。
辛かった。
もう買い手はいないだろう、そう思って諦めていた時だった。
「おかーさーん!!あったよー!!」
ー小さい男の子の声がした。
会話を聞いている限り、
どうやら掃除をするのに僕らが必要らしくここに来たようだった。
...まあ、僕には関係ないことだけど。
僕はまた仲間が買われていって残されることを想定していた。
だからこそ覚悟は出来ていた。
早く僕以外を選ぶがいい。
僕はもうヤケになっていた。
だが僕の予想は外れた。
「おかーさん!この子がいい!!」
そう言って少年が手に取ったのは
ー僕だった。
「この子でいいの?この子よりもっといいのはあるわよ?」
そう言ったのは母親だった。
しかし少年はこの子がいい、と言って譲らなかった。
そしてそのまま僕は買われた。
ー夢かと思った。けど少年が僕を握りしめる感覚から、夢ではないのがよく分かった。
...少年よ。
僕が君を必要とするならば。
僕は君の役に立てるように頑張ろう。
僕は少年の手の温もりを感じながら、
心の中で少年にそう呟いたのだった。
たまに思う。
仲間達はどんどん買われていった。
ある者はまるでペットのように可愛がれ、ある者は掃除に沢山使って貰えて。
またある者は汚いもの扱いされ。
僕はどの人生を歩むんだろう。
期待と不安の中僕は生まれた。
今日は初めての「外」だった。
ついに僕を買ってくれる人を
外で待つ日が来たのだ。
この時をとても楽しみにしていた。
たくさんの試練を乗り越え。
仲間も失って。
それでも頑張ってここまで来た。
ー正直、緊張してないと言ったら嘘になるかもしれない。
だって、初めての外だ。
ずっと待ち望んでいた外だ。
僕はドキドキしながら買い手を待っていた。
今か今かとうずうずしていた。
ー数時間が経った。
相変わらず、僕はまだ待っている。
仲間達はどんどん買われて行った。
老人から先生らしき大人、子供。
皆が僕達を見て、僕以外を買っていった。
それを何度も見た僕は諦めかけていた。
何故か僕だけが選ばれないのだ。
仲間達は売れていくのに。
僕だけはここに残される。
辛かった。
もう買い手はいないだろう、そう思って諦めていた時だった。
「おかーさーん!!あったよー!!」
ー小さい男の子の声がした。
会話を聞いている限り、
どうやら掃除をするのに僕らが必要らしくここに来たようだった。
...まあ、僕には関係ないことだけど。
僕はまた仲間が買われていって残されることを想定していた。
だからこそ覚悟は出来ていた。
早く僕以外を選ぶがいい。
僕はもうヤケになっていた。
だが僕の予想は外れた。
「おかーさん!この子がいい!!」
そう言って少年が手に取ったのは
ー僕だった。
「この子でいいの?この子よりもっといいのはあるわよ?」
そう言ったのは母親だった。
しかし少年はこの子がいい、と言って譲らなかった。
そしてそのまま僕は買われた。
ー夢かと思った。けど少年が僕を握りしめる感覚から、夢ではないのがよく分かった。
...少年よ。
僕が君を必要とするならば。
僕は君の役に立てるように頑張ろう。
僕は少年の手の温もりを感じながら、
心の中で少年にそう呟いたのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる