愛犬家と悩ましい隣人~距離が近い彼女に困っちゃう~

ちんく

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彼女は悩ましい隣人

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三浦春美。16歳。職業は学生。

見た目は普通だけど、中身は変、と
彼女を知る人にはよく言われる少女だ。

もっかの悩みは、女子高生という結構な優遇ジョブにつきながらも一向にモテない事。

そして、愛犬が最近亡くなった事からの
傷心から中々回復できない事……のはずだったのだが、最近、これらに新しいのが加わった。

この子のせいでなああああ~っ!!


心の中で叫ぶと、揺られるバスの中、
春美は相手に気づかれないように横に目をやる。

元凶とされた少女は
ハーフアップにした肩までの髪に、
手製なのか薄いピンクの花柄の
布マスクをつけていた。

優しそうな眼差しが、顔の下半分を
隠していても可愛いだろうオーラを伝えてくる。

両手を行儀よく、リュックの上に置いた
おとなしそうな様子は白いセーラー服と
あいまって、とても儚げで愛らしい。

男性相手ならともかく、同年代の同性を悩ませる存在にはとてもじゃないが見えない。

いやっ、そうなんだけどね!私もそう思ってたんだよ!?
凄い、大人しそうで可愛い子だなあ~~って。

でもでもでも!そうじゃないんだよ~~っ!

いや、私が気にしすぎなのかも
しれないけど、なんで、なんで、
どうして、どうして!

いっつも私の隣に座ってくるの~っ!?

そうなのだ。この可愛いこちゃんは、
何が楽しいのか、通学の時間が重なる
このバスでいつも春美の隣に座ってくるのだ。

春美の乗るバス停は、始発から数えて二つ目なので、大抵座れる。
若いくせに立つという行為をしない
外道な彼女が、我先にと座ると、必ず隣に
座ってくるのだ。

いつも決まった席に座ってると言う訳ではないのに、必ずなのだ。(とっても大事な事なので、何回もいいました)

相手が男性なら、
『ようやく、私の魅力が認められる
 時が来たか』
となるのだが、相手は同性である。(しかも自分より遥かに可愛い)

こうなると、妙な汗が止まらない。
LGBTなど、同性愛に対する周囲の理解も
求められる世の中になってきたが、
春美は、自分がその手の方々に
モテるタイプとはとても思えない。

万が一、そうなったとしても
付き合ってる相手がいないのは性別に
対しての信条などではなく、単に男性に
相手にされてないからなのでここで、
くだんの可愛い子ちゃんの気持ちに応える
要素にはならない。

ど~すんの、これ!何か、すっごい
ドキドキするんだけど!こっ、これがもしかしてトキメキ!?いっ、息が荒くなってきた……。

何か、色々と間違った意識で勝手に
盛り上がり、どこぞのおっさんよろしく、
ハア~ッハア~ッやり始める。

とりあえず見た目女子高生だから
何とか許してもらえるが、本家が
やったら通報案件だ。

他の乗員の中には気づいて、
訝しげな様子をしているのもいるが、
横で妙な雰囲気をだされてる当人は、
体を離す事もせず、無垢な目をして座っている。

すっごい、良い匂いするし!あたしなんか、
お母さんに風呂入っても臭いとかいわれるのに(!)
しかも、何か柔らかいし……。

命知らずにも問題の少女は、
母にすら異臭騒ぎをおこされた春美に対して
これでもかと密着して座ってくるのだ。

おかげで少女の側の座席には、
いつも少し隙間が空いてるありさまだ。

気のせいではすまない事態に、
春美の動悸、息切れがますます激しさを増す。

いやどうしよう!どうすればいいの!?
だ、誰かある!ハ、ハチ~っ!

見知ってる人も、知らない人も
今は亡き愛犬もそれぞれ
事情があるのだろう。

助けにくる存在はなかったので、怪しい
女子高生と愛らしい女子高生と、
その他を乗せて、バスはとりあえず目的地
へと進んでいった。
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