24 / 41
地獄体験~あれ? 思ったよりも~
『彼』のオンステージ 閉幕
しおりを挟む
「これは何事か」と飛び出してきた天幕内の仲間――ちょび髭の小柄な紳士――に首根っこをつかまれて中に引きずり込まれる『彼』。その光景を横目に、ボクはこの場に留まっていた。
残された時間は少ない――そう直観したからだ。
今は『彼』の怒られ姿と、その後の満面の笑みを見に行くのではなく、忘れっぽいボクの魂と向き合う時間が必要と思った。
「ほとんどを忘れちゃってたけど、今度こそ――忘れない!」
覚悟を口にしながら、いま一度、思い出した内容を思い浮かべる。
カラフルな炎の秘密――――‘タネと仕掛け’は『炎色反応』。
『彼』が操ったのは“火炎”。そして燃やしたのは“塩《えん》”だ。
色んな酸化物《さん》と塩基物《アルカリ》を“塩《えん》”にしていた。
(……あれは味見してはいけないものばっかりだった)
「途中で異臭騒ぎがあったのも……」
ついつい触れてはならないことも口をついて出てくる。
(……ボクは楽しめたから、文句はないよ!)
ベースの色は……“赤”“黄”“紫”“緑”“橙”“紅”“黄緑”。
かなり複雑な調合を繰り返しながら、
『リアカー・ナキ・ケームラ・ドウリョク・カリルトウ・スルモクレナイ・バリキデイコウ……』と唱えることで、この“塩《えん》”は完成する……。
そしてその“塩《えん》”を、『めたのーる?』という燃える水に溶かすのだ。
(特に儀式は必要なさそうだったから、ボクもモノさえあれば簡単に――)
――そう思った瞬間、『彼』の世界に燐光が降り注いだ。
どうやら、ボクが思い出せるのはここまでだった。
「できることなら――“炎を大きくしたり、動かしたり、鳥にしたりするところ”まで、おさらいしたかったけど……十分だ!」
――色とりどりの光の粒子は次第に輝きを増し、ボクの体の周りに虹色の幕を作り出す。
「“笑顔”に全力を懸けるね~! 君の想いは“ボクも”絶対忘れないから~!」
消えゆく『彼』の世界、ボクは大きな声で決意を叫んだ!
天幕の奥に消えてった『彼』に届くように。
残された時間は少ない――そう直観したからだ。
今は『彼』の怒られ姿と、その後の満面の笑みを見に行くのではなく、忘れっぽいボクの魂と向き合う時間が必要と思った。
「ほとんどを忘れちゃってたけど、今度こそ――忘れない!」
覚悟を口にしながら、いま一度、思い出した内容を思い浮かべる。
カラフルな炎の秘密――――‘タネと仕掛け’は『炎色反応』。
『彼』が操ったのは“火炎”。そして燃やしたのは“塩《えん》”だ。
色んな酸化物《さん》と塩基物《アルカリ》を“塩《えん》”にしていた。
(……あれは味見してはいけないものばっかりだった)
「途中で異臭騒ぎがあったのも……」
ついつい触れてはならないことも口をついて出てくる。
(……ボクは楽しめたから、文句はないよ!)
ベースの色は……“赤”“黄”“紫”“緑”“橙”“紅”“黄緑”。
かなり複雑な調合を繰り返しながら、
『リアカー・ナキ・ケームラ・ドウリョク・カリルトウ・スルモクレナイ・バリキデイコウ……』と唱えることで、この“塩《えん》”は完成する……。
そしてその“塩《えん》”を、『めたのーる?』という燃える水に溶かすのだ。
(特に儀式は必要なさそうだったから、ボクもモノさえあれば簡単に――)
――そう思った瞬間、『彼』の世界に燐光が降り注いだ。
どうやら、ボクが思い出せるのはここまでだった。
「できることなら――“炎を大きくしたり、動かしたり、鳥にしたりするところ”まで、おさらいしたかったけど……十分だ!」
――色とりどりの光の粒子は次第に輝きを増し、ボクの体の周りに虹色の幕を作り出す。
「“笑顔”に全力を懸けるね~! 君の想いは“ボクも”絶対忘れないから~!」
消えゆく『彼』の世界、ボクは大きな声で決意を叫んだ!
天幕の奥に消えてった『彼』に届くように。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる