上 下
17 / 93
二人目:吟遊詩人は少女に謳う

少女と詩人5

しおりを挟む
チュンチュンと鳥たちが朝を告げる。

まぶしい光がメアリーを照らす。
う”ぅーんと うなりながら 眼をこするメアリー
「おはよう よく眠れたみたいだね」

「うん・・・?」

メアリーは寝ぼけた感じで目の前で 私を見下ろしている男の顔を見つめる。
「!!!!?」

ガバッ!!!と布団から起き上がる。

「あ、あの!!わ、わたしは!!あ、あれ?!」

「ははっ、落ち着いて 大丈夫だよ。ここは私の家さ
夕べ、気づいたら君は寝ちゃっててね、どうすればいいかわからなかったから 連れてきちゃったんだ」

「そ、そうでしたか・・・すみません・・・」

「いいよ、それより ご飯、できたよ」
「あっ」
すごい優しい・・・。
なんだろう、窓辺から日の光が差して、彼を照らす
その表情はとても優しい顔で、私に笑顔を見せてくれていた。
小さなテーブルに向き合うように木でできたイスに座る。
イスは硬くてクッションのようなものがないから、すわり心地はあまりよくなかった。
「ご飯まで用意してもらちゃって・・・ありがとうございます・・本当によろしいのでしょうか」
「うん、君のために作ったんだ。食べて欲しい」
彼と私の分の食事は同じ。
小さなクロワッサンが1つに、目玉焼きとウインナーが1つ。
私の目玉焼きは黄身がしっかりとまんまる。
彼の目玉焼きは少し失敗しているように見えた。
彼は私が食事に手をつけるのを待っているようだった。
ちらちらと彼の顔を見ながら、小さくいただきますをする。
「いただきます・・。」
私が食事を始めると、彼も食事を始めた。

しおりを挟む

処理中です...