原始時代に生き抜いた最強の戦士オクルトス

二人目：吟遊詩人は少女に謳う

詩人と少女１４

翌朝になり、アベルは炭鉱に向かう。
今日も鉄でできた　つるはしを手に
朝から昼にかけて穴を掘り続けた。
昼休憩に入ると周りの奴隷達は食べ物を配給される。
驚いたのは配給される食事は貧相ではなく
一般的な食事が配給されていた。
こんがり茶色に焦げ目のついた手のひらよりも大きなパン
春雨とハム、野菜の入ったスープなど　とても奴隷に与えるにはよすぎる食事であった。
ロンが隣に座る。
「なぁ、ロン　どうしてここの食事はこんなにもいい食事を出してくれるんだい？」
ロンはパンを口にくわえ込み　ひきちぎるように食べる。
「なんふぇも、ここのオーナーは確かに奴隷を使ってるけど、満足に労働させるために
んぐんぐ、まっとうな食事をさせてるんだそうですよ、ごっくん」

スープをすすってる口を話し　疑問を投げかけてくる。
「ところでアベルさんはどうしてここに？」
アベルは手を止める。

「そうだなぁ・・やっぱりお金のためかな？大切な人を守るためにはどうしてもお金が必要なんだ」
ロンも視線を落としながら言う。
「なるほど、アベルさんもなんですね　僕にも妹がいるんですが　借金の変わりに連れていかれてしまったんです・・ここでもしダイアモンドを見つけさえすれば・・・！！！」

ふと男の視線に気づき　そちらに眼を向けると男はそれに気づき
すぐに眼をそらし、その場から去っていった。

「おーし　お前達休憩は終わりだ！！持ち場に戻れ！！！」

カチャカチャと片付ける音を背景に、まだ残っているものをかきこむように急いで頬張る。