原始時代に生き抜いた最強の戦士オクルトス

三人目：魔王の娘ヘルクレア

魔王の娘ヘルクレア３

――――あの頃のボクは何をやってもだめだった。

「何度言えばわかる！！見ろ！ヘルクレアはもうとっくにこの修行を終えているぞ！
まったく貴様は・・・血脈の恥さらしめ！！」

父ダグゼスはドーンベルグを罵倒するとその場を後にした。

地面に座り込む弟の所に駆け寄る

「ドーンベルグ、大丈夫？」

ヘルクレアが汚れた頬をぬぐおうとしたとき
その手を払った

「触るな！！お前にはわからないさ　ボクの気持ちが！！！わかるものか！！」

ドーンベルグは走り去ってしまった。

そして次の日も。


「見事な瞬歩だ、ヘルクレアお前は次の試練にゆくがいい」
ヘルクレアはお辞儀をする。

その瞬間にパンッという音が響き渡った。

ハッと顔をあげ、音の鳴るほうを見ると、ドーンベルグが叩かれていた。

「話にならんな、貴様は魔力そのものが欠乏している、基礎からやり直すことだ。また一からやりなおせ」

ドーンベルグは下を向いたまま拳を握り、うつむいた顔から雫が落ちる。

再びダグゼスの姿はもうそこにはなく、弟と姉の姿しかない。

歩み寄ろうとしたが、それよりも早くドーンベルグが口を開いた。

「来るな！！！！」

背を向け走り出してしまった。

「待って！！！」

最後に見た弟の瞳は、深い憎悪に満ちていた。


どこまで走ったかわからない。長い石回廊を歩いていると曲がり角から話し声が聞こえる

「なんでもその心臓を食べると誰でも魔神龍になれるって話らしいぜ？」

・・・？龍？なんの話をしているんだ

「最初は、そのとき討伐したダグゼス王が食べるもんだと思ってたけど
食べずに宝物庫で保管してるんだと。」

「そらお前そうだろうよ、王は心臓食べなくたってそもそも強いんだし
それに神と同じ力を得られるってことはそれを食べるだけで王に匹敵する力を得るかもしれないってことだろ？」

！？神に・・なれる・・？

「まぁ、そういうことになるんだろうな　まぁ簡単に誰が食べるかなんて選べるわけがないか」


複数の足音は静寂に消えた。


「・・・クク・・ハハッ・・ハーーーハッハッ、これだ！！これしかない、これでボクは」